顔に大きな傷を負ったいのりちゃんは、治療のかいあって、見違えるほど綺麗な顔になって元気を取り戻したそうです。本書には、いのりちゃんの写真も載っています。
猫を飼うのは簡単ではないし、まして飼い続けて看取るのは難しくもあります。保護猫活動をする中で、tamtamさんが見てきたのはさまざまな出会いと別れ。あらゆる事情で孤児になった猫を、新しい家族に引き渡すまで、一筋縄ではいきません。
猫と家族候補とのお見合い、面接。数々の難関をクリアして託した大切な猫なのに、わずか数日で戻されることも。その理由が「思ったよりも毛が抜ける」というのだから、驚いてしまいます。
保護猫を迎える側の、「家族になりたい」という気持ちに嘘はないのでしょう。でも命あるものを受け入れる覚悟が足りていないと、読みながら悲しくなりました。
tamtamさんは、たらい回しにされた猫を抱きしめ、復讐したいと願います。
<最高の復讐は、幸せな人生を送ることである>
というアイルランドのことわざどおりの人生を、猫に歩ませてあげたい、そう決心したのです。ややあって、猫はあたたかい人達と縁があり、本当の家族になりました。

顔に大きな傷を負って見つかった「いのり」ちゃん

いのりちゃんは、治療で見違えるほど綺麗で元気になった
猫を保護して、お世話をし、新しい家族に引き渡す。深い愛情で接しているからこそ、別れる時にはつらいはずだと、私は切なくなりました。しかしtamtamさんは言うのです。
<お別れの悲しさよりもずっと大きな、そばにいてくれたという温もりが残っているから>
そばにいなくても、心ではいつも一緒。そう感じながら、今日もtamtamさんは活動しています。
<本書の売上げの一部は、保護猫・保護犬の支援活動を行っている団体に寄付されます>という今回紹介した2冊。命って?生きるって?本書に登場する猫達に教えられることがたくさんあります。
<文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『
主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『
母親病』(新潮社)、『
神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。
X:@morimikixxx