震災から約1ヶ月後、神奈川の動物愛護団体から嬉しい報告が。ツユリさん宅の庭に設置した捕獲器にマリンちゃんが入り、保護できたというのです。ただ、マリンちゃんは一切鳴きもせず、ご飯を食べませんでした。

保護から数日後
「保護されても衰弱したまま命を落としてしまう猫ちゃんの話も聞いていたので、両親を説得し、すぐにマリンを迎えに行きました」
再会時、マリンちゃんは家族を威嚇。やせ細り、目つきは険しくなっていました。
「家族のことは忘れてしまったのか。きっと、置き去りにしたことを怒っているのだろう。許してもらえるわけなどない」
そう思ったツユリさんは泣きながら、変わったマリンちゃんの姿を受け入れようとしました。

ですが、猫が人間を思う気持ちは深かったのです。ツユリさんが声をかけると、マリンちゃんは目を丸くし、見慣れたかわいい表情に。「ニャーニャー」とひとしきり鳴いた後、ご飯をガツガツ食べました。
「保護してくれた方は、『初めて鳴いた。安心したんでしょうね』と声をかけてくださいました」
再会後は、埼玉で避難生活を送りました。当初は仕事も休まざるを得ない状況で、気分も塞ぎ、無気力に。
「被災者が遊び歩くのもどうなのかと思い、出かける気にもなれず、家にいるか、庭で草花をいじるくらいしかできませんでした」
ですが、マリンちゃんがそばにいてくれたため、気持ちがどん底まで沈むことはなかったといいます。

ツユリさんは、近所の人たちの優しさに支えられ、窓際で昼寝をするマリンに声をかける園児や先生らの姿を微笑ましく思うなどして、気力を取り戻していきました。
ただ、災害は動物の心にも大きな影響を与えます。マリンちゃんは留守番が苦手になり、半日以上留守にすると、帰宅時に大きな声で鳴いて何かを訴えるようになりました。
以前にも増して家族のそばにいたがり、「膝の上に乗せて」とせがむようになったマリンちゃんに応え、心に寄り添っています。

現在、マリンちゃんは腎臓病を患っているため、週に2度、自宅点滴を行っているそうです。
「ジャンプの失敗が多くなった頃から危ない部屋には入れないようにしています。便秘気味の時には、抱っこしながらお腹のマッサージもします」