
考えてみれば、コメンテーターという仕事は「何でも知っている人」になることではないのですよね。 むしろ「自分が本当に語れることは何か」を理解することがスタートとも言えるかも。
私自身、生活している北海道のテレビ局でコメンテーターをさせていただいていますが、そのたびに思うのです。
知識量だけで勝負しようとすると限界があるのが現実。世の中には自分より詳しい専門家が必ず存在している中で、だったら何が必要なのか。それは実感をともなう「魂から出る言葉」かどうかではないか? と。
正確さももちろん求められますが、その人の人生の中で見つけ出した感覚だったり経験をその人でしか語れない言葉で紡ぎだす独特のライブ感、いわばバイブスが求められるのです。
そしてその積み重ねを経て、「この人が言うなら聞いてみたい」と視聴者のみなさんに思ってもらえるかどうか。
本田さんはそれがすごい。実際、今は「本田さんの解説を聞きたいから、そのチャンネルを選択する」という人が多いはず。配信なども充実しているこのご時世に、いろいろな選択肢もありうる中で地上波の生放送にチャンネルをみんなで合わせるという現象は、改めて、本当にすごいこと!
私はテレビやラジオをこよなく愛する人間ですが、かつてに比べればテレビ離れの時代と言われているのもまた現実。
好きな時間に好きな配信を見られるのは当たり前。そんな時代に、「この人が出るならリアルタイムで地上波を見たい」と思わせる力を持っている本田さん。
もちろんワールドカップの中継そのものは視聴率もしっかりとれるコンテンツである前提は変わりませんが、その魅力にプラスして「本田さん次はなんて発言するんだろう?!」と日本国中をワクワクさせられるのって、すごすぎます。
魅力的なコメンテーターとは、と考えれば、ある時はきわめて常識的に冷静なまなざしを持ちながらも、ある時は子どものようにはじけられるパッションを言葉に宿すことができる人である、ということではないでしょうか。
本田さんは「時間になったら家族みんなでテレビの前に集合する」というあの昭和のテレビ鑑賞スタイルの復権に一役買ってくれている気がします。やっぱりみんなでテレビを囲んでワーワーするのは楽しいよね。
さあ、本田さんの解説で日本の決勝戦を観る、というのを目標に、ワールドカップ楽しんでいきましょ。
<文/アンヌ遙香>
アンヌ遙香
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『
アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram:
@aromatherapyanne