――年齢を重ねることを前向きに受け止めるには、どんな考え方が大切でしょうか。
ワタナベ:自分のことをアンティークドールだと思うことです。世の中には、女性は年を重ねると価値が下がると考える人もいますが、私はまったく逆で、いろいろな経験を積んだからこそ、その人にしかない魅力や深みが生まれると思っています。アンティークドールも同じで、年月を重ねるほど価値が高まります。少しくらい傷がついたとしても、それは劣化ではなく味わいなんです。
ただ、アンティークドールも放置されてホコリを被っていれば価値は下がってきますから、私たちも自分を慈しみ、いたわってあげましょう。体と脳が健康であれば、人生は何歳からでも楽しめます。「もう歳だから」は、言えば言うほど老けていく呪いの言葉。今日で卒業してください。
――人生をご機嫌に生きるために、ワタナベさんご自身が実践していることがあれば、教えてください。
ワタナベ:3年前から「やりたいことリスト」をつくり、実践中です。ブログで「ワタナベ薫がチャレンジしたらかっこいいと思うことを教えてください」というアンケートをしたところ、200くらいのアイデアをいただきました。その中から、自分ができそうなことを片っ端からリストに入れています。英会話のような仕事に生かす目的のものもありますが、ボクシングや武道、それにクルマのドリフトもあります。昔からやりたかったんですよね、ドリフト(笑)。
人生の問題に対処したら、あとは数十年の自由な時間が目の前に広がっています。その時間を漫然とテレビやネットに使うか、胸がときめくチャレンジをするのかで、残りの人生の輝きが違ってきます。
――大事なのは、本当に全部やることではなく、後悔しないようにすること。
ワタナベ:そのために活用しているのが、自分でつくった「未来手帳」です。予定を書き留めるだけでなく、「こんな人生にしたい」という未来と、そのための「やりたい」を視覚化してくれます。小さな「やりたい」を一つずつ叶えていくのは、本当にワクワクしますよ。
私はもう母を見送りましたし、同年配や年下の友達で先に逝ってしまった人もいます。いつか私があちらに行ったとき、待っていてくれる人たちに胸を張れる生き方をしたい。「私、やりたいこと全部やったよ、お母さん」って言いたいんです。
――最後に、ご機嫌な人生へ一歩踏み出したい読者へメッセージをお願いします。
ワタナベ:「人生100年時代」という言葉に、ネガティブなイメージを持ってしまう人もいらっしゃると思います。寿命は延びても、お金や健康、家のことなど、考えなければならないことが増えたように感じるからかもしれません。「私の人生、これからどうなるんだろう……」と思ってしまいますよね。でも、そんな不安はさっさと片づけてしまえば良いんです。そうすれば、その先には遊園地が待っています。
「あと30年どうしよう」ではなく、「あと30年も楽しめる」。人生100年時代を、そんなふうに捉えてほしいですね。
<文/宇津井恵子 撮影/門嶋淳矢>