次に、少し視点を変えて、ハワイ旅行での現金事情についてお話ししたいと思います。
ハワイに旅行でいらっしゃる方から、「現金はいくら持っていけばいいですか?」と聞かれることがよくあります。結論から言うと、買い物や食事などの支払いは、ほぼ100%カードで問題ありません。
とはいえ、現金がまったく必要ないわけではありません。今でも現金が必要になる場面があるとすれば、それは「チップ」です。
「チップはいくら渡せばいいですか?」という質問もよくいただきますが、物価高やインフレの影響もあり、以前のように1ドル札を渡せば十分、という雰囲気ではなくなってきました。
例えばホテルで荷物を運んでもらった場合は最低でも2ドル、グレードの高いホテルであれば5ドルほど渡すとスマートな印象です。
ハウスキーピングやバレーパーキングでも同様で、1ドルだけでは少し物足りないと感じる場面が増えています。
私自身も、月に1回ほど銀行で現金を引き出す際には、1ドル札や5ドル札を多めに両替してもらい、チップ用として手元に用意しています。普段の買い物で現金を使うことはほとんどありませんが、この小額紙幣だけは今でも欠かせない存在です。
反対に、100ドル札のような高額紙幣は、あまり使うことがありません。100ドルのような大きな金額はカードで支払うことがほとんどで、100ドル紙幣を持ち歩くなんてことはありません。
偽札対策のため受け取りを断られる店舗もあるので、旅行で来る場合も取り扱いには注意が必要かなと思います。
下の1セントは製造を中止して、上の100ドルも使いにくい。そんな現状が今のアメリカのリアルです。

今回、アメリカで1セント硬貨がなくなるというニュースをきっかけに、改めて現金との付き合い方について考えさせられました。
今、アメリカではキャッシュレス化が急速に進み、現金での支払いは全体の14%まで減少し、クレジットカードとデビットカードが約65%を占めています。
2012年頃には現金が主要な決済手段だったことを考えると、この10年あまりで「現金の役割」が大きく変わったと言えるのかもしれません。
一方で、便利さの裏側では新たな課題も生まれています。ハワイ州では、キャッシュレス化によって高齢者や銀行口座を持たない人たちが取り残されることへの懸念から、店舗に現金の受け入れを義務づける法案が提出され、議論されました。
最終的にこの内容は成立には至りませんでしたが、キャッシュレス化が進む一方で、「現金を使いたい人が使える環境をどう守るのか」という課題が、浮かび上がっているのも事実です。
ハワイに暮らしていると、「チップ」という文化のもとで、現金は単なる「決済手段」ではなく、人と人とのつながりを生む役割も持っているんだと実感するようになりました。
ホテルで荷物を運んでもらった時に「ありがとう」という気持ちを込めて渡す5ドル札のように、相手の手に直接渡すお金には、数字だけでは表せない温かさがあります。
これから先、こうしたチップ文化も電子的なやり取りへと変わっていくのかもしれません。もしかすると、私たちの子ども、さらにその先の世代にとっては、「昔は紙のお金や硬貨というものがあったんだ」と感じる時代が来る可能性もあります。
キャッシュレス化は、アメリカだけではなく日本、さらには世界中で進んでいる大きな変化。便利さが広がる一方で、現金だからこそ生まれていたコミュニケーションや、人と人とのつながりがこれからどう変わっていくのか。
このニュースをきっかけに、そんな未来について考えさせられました。
<文/大木優紀>
大木優紀
1980年生まれ。2003年にテレビ朝日に入社し、アナウンサーとして報道情報、スポーツ、バラエティーと幅広く担当。21年末に退社し、令和トラベルに転職。旅行アプリ『
NEWT(ニュート)』のPRに奮闘中。2児の母