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32歳処女が提言「こんな女性手帳なら欲しい」【加藤はいねの『女の塊』】

加藤はいねの『女の塊』 第5回 ~「欲しい、いらない、女性手帳」

女性手帳,加藤はいね 童貞は30超えると魔法使いになるって言われてるんですけど、30超えた童貞のおっさんが魔法で世界を救っていく「マジカル☆秀男」みたいな漫画あったら絶対読むんだけどなー。

 ちなみに、30歳を超えた処女は、特に何のお声もかからず、ただただ元気に暮らしてんですけど。

 そんな平和な暮らしの中で、近年の少子化や晩婚化に対して「少子化危機突破タスクフォース」さんが、世の女性たちに対し「女性手帳」を配るっつー噂を聞きましてね。

 これね、女性の生き方がどうとか、何で女性だけに配るのかとかの数々の疑問以前にね、32歳で処女の私から言わせてもらうと、手帳で何とかなるような場面は32年なかったです。はい。一度も。

 いやもう、これ私が尾崎だったら「女性手帳」って題名で夜の校舎窓ガラス壊して回ったり、盗んだバイクで走り出してもおかしくないくらい、何もなかったです。大人達よ。

 ただ、多分だけど、タスクフォースも、私を今更ながら手帳でどうにかできるとは思ってないわけ。多分10代くらいの、もう、2組の高橋君と結婚することを疑わないくらいの女のコたちに向けてね、手帳を配ろうとしてるんだと思う。

 で、その10代の高橋君ラブの女子が、そっかー35までには子ども産まないとやべぇわけねオッケー!って思ったところでなんだっつーわけですよ。

 ダイエットは明日からもいいとこで。私だって、高橋君にお熱だったころは、35くらいになれば自然に高橋の子ども2人くらいいるつもりでいたっつーの。じゃあ20くらいで軽く結婚しましてー、みたいにね計画を練りに練ってたっつーのね。小学校の卒業文集に、将来の夢は「お嫁さん」ってバッチリ書いてたっつーの。で、あれよあれよと32歳。いよいよ夢が大リーガー並の難易度になってきてるわけですが。

 これでも、折りにふれて人生設計してきたわけです。でもその通りになんて、一個もいかないわけです。そりゃもう、度重なる失恋に次ぐ失恋。怒濤の失恋。そんな時に、「そうそう私にはこれがあったわね」なんつって、そっと女性手帳を開いたとして、やけにリアルな子宮の絵を見たとして、なんだっつーわけ。知ってるっつーの。付いてるっつーの。焼け石に水ですよ。

 女性の年齢と体については、手帳とかではなく、普通に保健の授業なりで男女ともにやればいいわけで。その授業を超える内容が手帳にあるとは思えないわけです。そもそも妙齢の女性の産む産まないの舵取りは、手帳の手で負えるような代物じゃない。「カイジ」あたりでざわ…ざわ…って描かれていいくらいの決断なわけです。

 で、結局、女性手帳はとりあえず見送りになったみたいです。あと、女性手帳の本名は「生命(いのち)と女性の手帳」だったそうです。すごい。すごいどっしりした題名。間違って勇者に渡したら、何らかの冒険の旅に出ちゃうくらいの。仲間集めて森でレベル上げちゃうくらいの。そんな手帳でした。

 ただ、なんていうかこの件で「少子化危機突破タスクフォース」っていう、もうそれこそファイナルファンタジーのセフィロスあたりそこにいなかったっけ? っていう組織名と共に、女性の妊娠の問題がクローズアップされたのはいいことだと思います。卵子の老化とかタイムリミットとか、まるで時限爆弾か何かみたいにヤイノヤイノ言われてますが、キャッチーな文句にとらわれず、正しい知識をつけて、でも決して知識に振り回されず、うまく使っていくくらいの感じでいけたらいいんじゃないかなって思います。あと、もう卵子の老化どころか、私の処女膜とかどうなっちゃってるか教えてタスクフォース。ナウシカのババ様みたくなってない?「その者蒼き衣を纏いて」とか言ってない?

 それでもこの先、少子化を憂い「生命と女性の手帳」が作られるとしたら、表紙はあれだね「目で妊娠させる男」で有名なベニチオ・デル・トロ。で、最初のページをめくると、島倉千代子先輩の「人生いろいろ」の歌詞ね。ぜひ全文掲載してほしい。あと、手帳の端に受精卵の分裂の様子をパラパラ漫画でね。もしくは鉄拳のパラパラ漫画「振り子」あたりをつけてもらえば人生観もバッチリ。そして、次のページをめくると、「あれ……これって……」、そう、そっから先は捲っても捲ってもずっと白紙なの。ばーん。

 そしたら、もう「タスクフォースぅぅううぅう」つって走って抱きつくね。したら、タスクフォースも満更じゃない感じで「しょうがねぇなあ。大丈夫だよ、おまえには俺がついてる」つってくれて、もう、そんな手帳なら明日下さい。

 そんなことを考えて、今日も元気に暮らしてるわけですが。

 処女は30超えたら、星座になるといい。私、明日も明後日も精一杯輝くから、私たちの股間をつないで、本物のおとめ座を作ればいい。そして女性が道に迷うときは、そっと眺めてくれればいい。よけい迷うから。 <TEXT , ILLUSTRATION /加藤はいね>




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