1日18時間勤務はザラ…人気IT企業の過酷な実態
低賃金・長時間労働・パワハラや暴力……。すっかり日本社会で名称が定着した「ブラック企業」だが、いまや中小だけでなく大手企業も「ブラック化」する傾向にあるらしい。労働者が告発する、内部事情とは?
【大手IT C社の子会社】
<年収:500万円(34歳)/勤続年数:1年/部署名:システム開発部/総社員数:100人
急成長を遂げるために労働時間が長くなる傾向にあるIT企業。
それは、中小だけでなく、大手でも同様だ。某大手IT企業の子会社に勤める竹下徹さん(仮名・34歳)は語る。
「僕がこの会社に転職したのは1年前です。ブラック企業だと気づいたきっかけは、社員の平均年齢が20代半ばと、とにかくすごく若かったこと。僕は今34歳ですが、会社内では最年長になります。
営業枠で採られる社員は、新卒などで入っても仕事がキツくてどんどん辞めていき、それに応じてまた新しい社員が追加されていくという繰り返し。僕の場合は、技術職で営業ノルマもないので、まだ続いているという感じでしょうか」
技術職だから労働環境が良いかというとそうでもない。退社が24時を過ぎることも日常茶飯事。休日も何かしら会社の仕事をこなしているという。
「一日18時間労働ぐらいはザラ。残業代は多少出るものの、『仕事が終わっていなければ、残業するのが当たり前』という空気なので、サービス残業をすることも多いです。また、会社の近くに住むことを奨励されるので、終電を逃しても徒歩やタクシーで帰れてしまうんです。言い訳もできません」
こんな過酷な労働環境とはいえ、会社を辞める気はないという竹下さん。いったいどうして?
「IT業界全体が、業績に関係なくこんなものですから。僕自身、以前働いていた会社も、泊まり込みはザラでした。仕事自体は最先端のことがやれておもしろいので、『この業界に入った以上、普通の生活はもうできないんだな』って諦めています(笑)」
慣れとは恐ろしいもの。業界の通例に甘んじていて、心身を壊さないことを祈るばかりだ。
<PHOTO/Ocusfocus>
― [ブラック化する日本企業]の闇【2】 ―