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法改正でストーカー・DVから身は守れるか?

 2013年6月26日、衆院本会議で改正ストーカー規制法と、改正DV防止法が可決・成立しました。この法律改正で、具体的には何が変わったの? 弁護士の木山泰嗣先生に聞いてみました。

ストーカー規制法で悪質なメールも「つきまとい」の対象に



「これまでストーカー規制法では、“つきまとい等”というものが規制対象になっており、たとえば交際など義務のないことの強要や、待ち伏せする、家に押しかける、電話を何度もかける、ファックスを何度も送信するという行為がその対象になっていました。それが今回の改正で、“メール”も規制対象となったんです」

 今時ファックスを使う人もそんなにいないし、いまさら? という感じがしますが、ストーカー法が成立したのは2000年。当時は今よりメールが普及していなかった時代だったため対象外だったとか。

今までは、たとえ悪質なメールが1000通来ても、対処することができなかった。法律で明確に決められていない以上は動けないという現実があったんです」

 というのも、規制というのは人の自由を奪う行為。簡単には変えられないのが現実のようです。場合によっては親しい人にメールをたくさん送っただけで、『警告』なんてことにもなりかねません。慎重にならざるをえないんですね。

「また、大きく変わった点がもう1つ。ストーカー規制法というのは、被害者が住んでいる地域の公安委員会しか、対応する権限がなかった。言い換えると、加害者の住んでいる地域の公安委員会は何もできなかったんです。しかし今回の改正によって、加害者の住んでいる地域の公安委員会も、警告が出せるようになりました。地域を越えて警察の連携が取れるようになったんです」

恋人同士の同棲でも、DV防止法が適用できるように



「今までのDV防止法では、規制の対象となるのが『配偶者からの暴力』となっており、離婚した場合や、婚姻届は出していないけど、内縁のような形で事実上の結婚生活を送っているという場合も、対象に含まれていました。改正後はこれに加えて、同棲中のカップルも規制の対象になります」

 交際してるけど、結婚はしていない、内縁というほどでもない、という恋人もDV防止法が適応可能になったということ。今まで“恋人同士の同棲”はDV対象外だったんですね。知りませんでした……。

実効性がどこまであるのかが今後の問題点



 ところが、改正後の法律にも少なからず問題点があると木山先生は言います。

「ストーカーは警告を出せば事件が起きないのかと言えば、そうとは言い切れない。DVだって規制の対象になれば、近づくなという命令を出すことはできますが、24時間見張りがつくわけではありません。果たして実効性がどこまであるかという問題は確かにある」

 え! そう言われるとちょっと不安……。本当に安全になったんですか?

「何も出ないよりは確実に効力はあると思います。今回の法律改正によって、ストーカーやDV被害はかなり防げるのでは。今までよりも女性の安全が守られるようになったといえます」

 改正ストーカー規正法のうち、メール規制は7月上旬公布の20日後から、そのほかは10月から施行されます。DV防止法は2014年1月から施行される見通しです。

 ストーカーやDVのような、面識ある相手からの犯罪行為は、当人同士の問題も大きいため、なかなか警察に相談できないという現実があると思います。しかし、今回の改正により、被害が少しでも減ることを願うばかりです。 <TEXT/中村未来(清談社)PHOTO/Stokkete>

【木山泰嗣さんプロフィール】
1974年横浜生まれ。上智大学法学部を卒業後、2003年より都内の鳥飼総合法律事務所に所属し、税務訴訟及び、税務に関する法律問題を専門にする。著書に『憲法がしゃべった。』(すばる舎)『分かりやすい「民法」の授業』(光文社新書)など。最新刊に『小さな達成感,大きな夢』(弘文堂)がある。

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