クルマ知識ゼロの女性記者が、“ポルシェの助手席”に試乗してみた
試乗会。それは自動車ジャーナリストや専門誌が集い、チンプンカンプンな用語が飛び交う男の世界――。と思っていたら、5月某日、ポルシェ ジャパンが一風変わった試乗会を開催しました。一般誌や女性メディアの記者・編集者に声をかけ、「スペック云々ではなく、ポルシェを“感じて”欲しい」というのです。なんと、運転できない人でもドライバーを付けるからOKだと!
ならば、いっそクルマ知識ゼロの女性記者を送り込んでみよう、ということで指名されたのがわたくし。運転免許も持ってなければ、歴代彼氏で車を持ってたのは1人だけ。そんなクルマ音痴が、恐る恐る軽井沢での試乗会(ただし助手席の)に参加してみました。
ポルシェというと2ドアのスポーツカー「911」のイメージが強いですが、集合場所に並んでいた「カイエン」「パナメーラ」は、まったく違う“家族用”っぽいクルマ。また、どちらのモデルもハイブリッド車(ガソリンと電気で走るやつですね)があり、「こんな2トン超えの巨大な物体がそんなんで動くの!?」と信じられない思いです。
⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=286201
まず助手席に試乗させてもらったのは、「Newカイエン・ターボ」です。
「シートが高くて見晴しがいい~」「加速しても全然ガクンとならな~い」と、子供じみた感想しか言えない自分が恥ずかしい。
運転してくれた青年(ポルシェの社員ではないけど、以下「ポルシェ君」)に運転のしごこちを聞くと、「高速での安定感、安全性は抜群ですね」。たしかに、いま野生の熊が突っ込んできても大丈夫そう。試乗した人の中には「ハンドルが重い」と言ってる人もいました。
同じポルシェでも、スポーツカーは「助手席に乗ってる恋人時代はいいけど、結婚して子供が生まれたらちょっと困るクルマ」、カイエンは「家族が余裕で乗れるクルマ」ってことですよね? とポルシェ君に聞くと、
「そうですね。僕は走りを楽しみたいからスポーツカーが欲しいですけど、もし彼女とかに反対されたら説得する自信はないです。『だって荷物積めないじゃん』と言われたら反論できない(笑)。『……いや、子供が生まれたらもう一台買うから!』と言い張るしかないですね」
実際、「ポルシェは好きだけど家族で乗りたい」派が多かったのか、嫁の発言権が強かったのか、2002年に発売されたカイエンは大ヒット。今では世界のポルシェ販売台数でトップはカイエンだといいます。
一方で、スポーツカー好きからは、「こんなのポルシェじゃない」「面白くない普通のクルマ」と言われたこともあるそう。まぁ女目線でいうと、カイエンやパナメーラを選ぶ男性のほうが結婚向きなイメージなわけですが。
次に乗せてもらったのは、「パナメーラ S E-ハイブリッド」。2009年に登場したパナメーラの、最新ハイブリッド車です。
⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=286206
ポルシェ君が手元の「E-POWER」ボタンを押し、
「いま電気モードで走ってますけど、パワフルでしょう? フル充電すると、電気だけで最大で36km走れるので、ちょっとした街乗りはガソリンがいらないということですね」。
電気モードだとエンジン音がしないので、風の音が聞こえるぐらい静かです。
さらに、下り坂で「E-CHARGE」ボタンを押したポルシェ君。
「これで走りながら充電できるんです。いま7km走りましたけど、ガソリンは使ってないし、電池もほとんど減ってません。つまりエネルギーの自給自足です」
自給自足……って自転車か!? でも考えれば、何かしらを高速回転させれば電気って作れるわけで、水力発電でも原発でも要はタービンを回してるだけ。クルマが走りながらエネルギーを作れるのは、理にかなった話とも言えます。
実は、世界で最初にハイブリッドカーを作った技術者は、フェルディナンド・ポルシェ氏(1875‐1951年)だそうです。当時はガソリン車の騒音がひどかったため、馬車メーカーに雇われたポルシェ氏はハイブリッドカー「ローナー・ポルシェ」を開発して、1900年のパリ万博に出品したのです。その後、長らくガソリン時代が続き、それがいずれ枯渇するとわかった現代に電気が見直されるとは、やっぱり人間は追い詰められないとダメなんですね。
今回、試乗以外のプログラムで、印象深いことがいろいろありました。
ひとつは、「星のや軽井沢」のエコツアー。
今をときめく「星野リゾート」グループ発祥の地、「星野温泉旅館」(1914年開業)をリニューアルしたのが「星のや軽井沢」です。
⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=286212
広大な敷地内をエコ視点で案内してくれるのですが、驚いたことに、現社長の祖父・3代目星野嘉助さんがつくった水力自家発電所がまだ稼働してるんですね。
当時はエコ云々でなく、電気が来ないから、昔ながらの水車で自家発電をして電灯をともしたとのこと。この水力発電と、地中熱、温泉排熱によって、「星のや軽井沢」で使う電力の75%(!)を自給できているそうです。
実は星野リゾートって“意識高い系”のイメージがあって敬遠していたのですが、100年旅館の本気はたいしたものだと思いました。
それから、最後のプログラムはワイナリー「Rue de Vin」(リュードヴァン)見学。耕作放棄地を開墾してぶどう畑を作ることから始めた、人生を賭けたワイン造りに感動! これはまた別の記事でご紹介します。
これらのプログラムも含めて、ポルシェが“感じてほしいこと”だったように思います。ですがポルシェ ジャパン広報氏は、「どう書いてくださっても構いませんよ。みんなが同じように褒めたら気持ち悪いでしょ? ハッハッハッ」と余裕のかまえ。
しかし、ポルシェを買えるようなメンズが、どこかに転がってませんかね?
<TEXT/女子SPA!編集部>