医者が教える「20・30代EDの兆候」
「ED(勃起不全)は年配者の病気」かと思いきや、最近、20~30代の男性のEDが増えているという。これは男性にとっても女性にとっても大問題。もし彼氏が急に反応しなくなったら、それは愛が冷めたのではなくて「若年性ED」かもしれない。
若年性EDになった男性に話を聞くと、「軽視せずにもっと早く病院に行けばよかった」との声が多い。なかには、「怪しい精力剤を買い漁って数十万円も使ってしまった」という人もいた。そうなる前に、男性も女性も基礎知識は持っておくべきだろう。
◆EDの兆候は? なった場合にはどんな診療をするのか?
まずはEDの兆候。渋谷三丁目クリニックの古市先生は、「体調によって波はあるが、わかりやすいのは朝立ちの減少」と話す。
「20代の方なら週に4、5回は朝立ちするのが普通ですが、それが1、2回になったら心労が関係していると考えていい。ほかに、特に30代の方ですが、加齢臭の増加なども兆候になり得ます」
では実際にEDを発症した場合、診療はどのようなものか。東邦大学医療センター大森病院泌尿器科の永尾光一先生が解説する。
「まずはアンケートで勃起機能が正常かどうかを判断する。その後、ハードネス・スコアーズという用具で自分の陰茎の硬さを測ってもらい、症状の重さでグレード分けをします。若年性の場合、通常なら100度を超す勃起角度が80~90度くらいで止まり、硬さが『なんとか勃起するけど挿入は困難』というグレード2が多いですね」
(※このアンケートを最後に載せておくので参考にしてほしい)
ちなみに若年性EDは心因性がほとんどなので、薬を使わず、このカウンセリングで解決する患者もいるという。薬を処方する場合は、ホルモン数値の検査も行う(薬での治療については後編で)。
◆自転車通勤など、EDになりやすい生活習慣や体質は?
最近では自転車通勤をする会社員も増え、「サドルとの圧迫感がEDの原因になる」という説もある。それは本当なのか?
「若い方のなかにも心配されて来る人がいますが、確かに臀部の血管が締め付けられるので、良くないのは事実。ただ、毎日100km近く乗っていなければ、大きな問題はないと思います」(古市先生)
新宿ウエストクリニックの室田先生は、最近、ED患者のある傾向を発見したという。
「医学的な解明はされていませんが、1か月の来院患者さんを調べたところ、背の高い人の割合が、低い人に比べてかなり多かった。当院の一日の来院者数は約200人。理由は不明ですが、統計的には背の高い人のほうがなりやすいのかもしれません」
<医師が聞く勃起機能アンケート>=======
Q1 最近、性交の試み(失敗も含めて)は何日くらいですか?
(1か月・3か月・半年・1年)に( )日くらい
Q2 その内、挿入は何日できましたか?
( )日くらい
Q3 その内、射精は何日ありましたか?
( )日くらい
Q4 最近、あなたの勃起角度(2秒以上持続)は?
130度以上、130度、100度、90度、80度、60度、太くなるのみ、太くもならない
Q5 その勃起時の状況は?
朝立ち、マスターベーション、性交、その他、性的刺激なし
Q6 勃起硬度は?
・陰茎は大きくならない
・大きくなるが硬くはない
・挿入には十分硬いが完全ではない
・陰茎が完全に硬直する
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【室田英明氏】
新宿ウエストクリニック、スタッフはドクター含め全員男性。同院はEDとAGA(男性型脱毛症)の専門クリニックで、診察・相談料は無料。HPはhttp://www.westcl.com/
【古市昌之氏】
渋谷三丁目クリニック副院長。ドクターやスタッフはすべて男性。診察は保険証不要で身分証の提示も原則必要なし。HPはhttp://www.shibuya3clinic4men.com/
【永尾光一氏】
大森病院泌尿器科勤務。ED治療の第一人者として活躍し、『医療最前線を追う ED治療、セルフメディケーション 自分で健康を守る100の知恵』(日経BP社)など著書多数
<PHOTO/Artur Gabrysiak>
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