『沈まぬ太陽』主演の上川隆也、「役を離れればただのおっちゃんです(笑)」
『白い巨塔』『華麗なる一族』『不毛地帯』『大地の子』『運命の人』などを生んだ山崎豊子の代表作『沈まぬ太陽』がWOWOWでドラマ化され、話題を呼んでいます。巨大組織の中で信念を貫き生きる主人公の恩地元を演じるのは、『大地の子』でスターになった上川隆也さん。ふたたび山崎作品へ主演した上川さんの思いを伺いました。
――オファーを受けたときはどんなことを思われましたか?
上川:僕がこうして映像作品などにも参加させていただけるようになった大きなきっかけに、『大地の子』という作品があるんですが、それから去年でちょうど20年だったんです。今回のオファーは、その20周年と時を重ねていただくようなかたちになりました。
また、これはおまけ的な話ですが、去年僕は50歳を迎えまして、そうした節目的な事がひとつならず重なったときにオファーをいただいて、しかも山崎さんが原作である『沈まぬ太陽』。個人的にもとてもありがたかったですし、不思議なご縁も感じました。
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――『沈まぬ太陽』は、社会派作家として人間と社会、組織を描き切った山崎さんの代表作です。改めてこの作品をどう感じていますか?
上川:山崎さんの作品は、決して一側面的なテーマでは描かれていないように思うんです。どこかに警鐘的な要素を含みつつも、一方では自戒もある。『大地の子』の筆を置いて赴かれたアフリカで題材を得られたと。その上で読み比べると、やはり描かれている目線に、何かしらの近似を感じます。二つの作品の根底には、問題提起的な部分と、同時に、人間礼讚も含まれているように思います。
――主人公の恩地とご自身は似ていますか?
上川:恩地の行動は、ほぼほぼすべて僕にはできないことです。彼の持っている正義感を内に秘めていることはできるかもしれません。しかしそれを表現したり人に示したりすることは、大きなハードルがある。でも恩地という男はやれてしまうんです。とても僕なんかではおよびもつかないなと思いますし、彼の強さを強く感じる部分でもあります。