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“セックスが苦痛”な女性が悩む「Hはいいこと」というプレッシャー

Hが辛い2 もちろん、ただ手をこまねいているわけではなく、理学療法士によるセラピーを受け、いつか信頼できる男性と“ふつうの”セックスをするための準備を整えているファンネル。しかし、身体の問題は治療で対処することはできても、“セックスのよさ”への同調圧力には戸惑っている様子。 <ミュージックビデオで男女が腰を振ったり、上半身裸になったカルバンクラインのモデルが汗を舐めあうような仕草をしてみせたりする。  つまり握手するのと同じぐらいセックスがお手軽になった世界で、“セックスのできない”私たちは、一体どのように暮らしていけばいいのだろうか?

“性にオープンな女性”は、ほんとうに自由か?

 たとえば、一昨年大ヒットした「Bang Bang」という曲があります。タイトルは、挿入を繰り返すときの擬音。3人の女性シンガーが、「これが欲しいんでしょ?」と歌い、女性上位を高らかに宣言する―――。 ⇒【YouTube】Jessie J, Ariana Grande, Nicki Minaj – Bang Bang ft. Ariana Grande, Nicki Minaj http://youtu.be/0HDdjwpPM3Y  しかし、オリヴィア・ファンネルのような人にとってはどう響くでしょうか。上っ面のフェミニズムでは癒せない痛みを抱えた女性たちには、あけすけなガールズトークも、結局は男性支配の裏返しにしか聞こえないのだろうと思います。  理学療法の際、膣内に指を入れられ、骨盤底の筋肉を伸ばす治療を受けたというファンネル。そんな詳細を持ち出さなければ、「できない」ことを理解してもらえない。 “こんなに素晴らしいんだから、みんなセックスしましょうよ”と訴えるのも大事でしょう。しかし、それだけでは片手落ちというもの。“無理してまですることないじゃん”と言うのも、オープンな意見のはずなのですから。 ※「ガーディアン」サイト http://www.theguardian.com/commentisfree/2016/jun/09/women-sex-agonising-vaginismus-penetrative <TEXT/石黒隆之> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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