やはり注目は12億円の指輪のゆくえです。英語圏の世論は、「もらったものはもらっておけ」という意見がある一方、「婚約ナシ=指輪ナシ」「オークションにかけて売上げをチャリティに寄付しろ」、果ては「ヨットから海に放り投げちゃえ」なんて声も。
大手弁護士事務所スレイター・ゴードンによれば、「
結婚は法的な約束を伴うものであり、婚約指輪はその遂行の証」だとか 。男性側にひどい落ち度があれば指輪は返さなくて良いこともあるし、逆に女性側に結婚に進めないような大きな責任があるならば指輪返却もあり得るそうです。
マライアたちの裁判地がどこになるかにもよりますが、カリフォルニアでは「女性側に何も落ち度がないのに男性側から一方的に婚約破棄した場合、女性は指輪を所有できる」とした判決もある一方、「受け取り側から婚約を破棄した場合、通常は指輪は返却する」という
弁護士の意見も。
一方、豪州では「指輪は捨てた」とした女性に対し、特段の事由がないのに婚約を破棄したとして
相応金額の支払いを命じた判例が過去にありました。
ちなみに、日本でも同様に、婚約を破綻した理由によって法的な見解は異なるようです。指輪をもらったからといって安心はできませんね。くれぐれもご用心を……。
<TEXT/沢木サニー祐二>
【沢木サニー祐二 プロフィール】
オージー文化評論家。大学で心理学を専攻後、講談社に入社。退職後、オーストラリアの独立移住ビザを取得、現在までシドニーに在住。現地で月刊誌やガイドブック製作などに携わりながら、移住・資産運用・法務サポートなどを行う。日本経済新聞シドニー支局現地記者(2013-15)、豪全国調停人協会認定調停人、英国仲裁人協会会員。