なぜ猫に癒される?セラピー猫・ヒメちゃんの活躍
また、人と動物が触れ合うことで脳内からオキシトシンという「癒しのホルモン」が分泌されるというデータも本書に記されています。
これまた私の体験談で恐縮ですが、言葉を話さない猫が私の脚に頭をこすりつけて餌をねだる仕草や、唐突に向けられる澄んだ目…特に精神的にまいっている時など、心がとろけてしまうのです。いささか自分勝手な思い込みではありますが。
本書に登場する獣医師も「動物と人間は不思議なもので、たった1秒で心が触れ合えてしまうのです」と語っています。
一般にペットとされる動物の中で、猫は孤高です。飄々とひとり遊びに興じ、放っておいてもさほど寂しがらない。本書でも指摘されていますが、本来、猫はセラピーアニマルには不向きなのです。なぜなら犬のように訓練ができないから。でも、だからこそ、気まぐれな猫が膝に乗ったり、無防備に喉を鳴らしたりするだけで、弱った人々の心に染み入るのかもしれません。
アニマルセラピーの研究者で精神科医の横山彰光さんが、学生に、猫か犬かどちらでもいいから黒板に描くよう指示したところ「9割が猫を描いた」という驚きの結果もあるとか。「猫の顔は人間に似て平面で描きやすい」というのが横山氏の考察ですが、これもまた猫に対する親近感の裏付けになりそうです。
最後に眞並さんは「猫は天性のセラピスト」だと書いています。
モフモフした身体をまるごと投げ出して、人と体温を分け合ったかと思うと、さっとジャンプして逃げる。人も猫も孤独だけど、たまにはくっついてもいいよ、でも密着しすぎるのはお互いのためにならないよ……まるで人生の教訓をくれるような、アメとムチの使い分けも、猫は絶妙だったりするのです。
<TEXT/森美樹>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
●森美樹:1970年生まれ。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓。最新刊『幸福なハダカ』(同)が発売に
@morimikixxx
本書に登場する獣医師も「動物と人間は不思議なもので、たった1秒で心が触れ合えてしまうのです」と語っています。
猫は天性のセラピスト
最後に眞並さんは「猫は天性のセラピスト」だと書いています。
モフモフした身体をまるごと投げ出して、人と体温を分け合ったかと思うと、さっとジャンプして逃げる。人も猫も孤独だけど、たまにはくっついてもいいよ、でも密着しすぎるのはお互いのためにならないよ……まるで人生の教訓をくれるような、アメとムチの使い分けも、猫は絶妙だったりするのです。
<TEXT/森美樹>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
●森美樹:1970年生まれ。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓。最新刊『幸福なハダカ』(同)が発売に
@morimikixxx森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
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