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恋愛は「バグ」。そんなに美しくて優しいものじゃない【燃え殻インタビュー】

 43歳の主人公「ボク」が、かつて信仰するように恋した「最愛のブス」との愛しくも切ない日々を綴った恋愛小説『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮社)が、発売から4週間で約7万5000部と、賞を受賞していない新人のデビュー作としては異例の売れゆきで話題になっています。

 著者は、叙情的なツイートが人気で、一部から「140字の文学者」と呼ばれる燃え殻さん(43歳)。cakesで連載していた同名タイトルの小説に大幅な加筆修正を加えたものが本書になります。

燃え殻さん

燃え殻さん

 本業はテレビの美術制作会社に勤める会社員という彼が、なぜ自身の経験をもとに身を削るような恋愛小説を書いたのか。ある夏の昼下がり、ボクと最愛のブス・かおりの思い出の地である渋谷区円山町のラブホテル街でお散歩インタビューを敢行。

 インタビュー後編となる今回は、書籍の担当編集者・宮川直実さんも加わり、男1対女2で、男女の恋愛観の違いに関する話になりました。

「ブス」より「尊敬」が上回る



――作品を手にした時に多くの人が気になるのが「ブス」というワードだと思います。どんなに中身がよくても外見で受けつけない、ということもあると思いますが、燃え殻さんにとって好きになるのに容姿は関係ない?

燃え殻:いや、スゲエかわいいコ好きだなって思いますけど(笑)、かおりのモデルになった女性に関しては、尊敬が上回っちゃったんです。彼女のサブカルにおける圧倒的情報量を前にして、自分の小ささを自覚させられたというか。

 彼女がすすめる本や映画を読んだり観たりしても、実際の作品が彼女から聞いた話より面白くないんです。いまでも難解な映画を観たら、彼女ならどう思うかなって考えます。

燃え殻さん_2

男の過去の恋は生きている



――別れてから20年以上の年月を経ても、燃え殻さんのその女性に対する想いがまったく色褪せていないのがスゴいです。

宮川:自分だったら過去の恋愛をそこまで生々しく保管できるのかな、と思いました。ドラマ「あなたのことはそれほど」の中でも主人公の友人の「あの頃好きだった人はもうこの世にはいない」といセリフがありますけど、よくわかります。女性は上書き保存していく人が多いような気がします。ミイラにして形は残っているけどそこに魂はない、みたいな。一概に言えるわけじゃないですけど、男性の方が過去の鮮度が持続している感じがします。

燃え殻:そうかもしれませんね。男同士とかで飲むと、いまでもその彼女のことを話したりしますから。

宮川・記者:えっ……(ちょっと引く二人)。

燃え殻:え、引かないでください(笑)! 男同士でエロ話もひと段落するとだいたい、いままでどんなコと付き合ったの? っていう話になるんですよ。飲みの場だし「そういう人がいてよかったね」ってみんな言うんですけど、僕は彼女に会わなきゃよかったと心から思っていて。自分の中身が、自分の人生が、ものすごく変質したから。

 で、「会わなきゃよかった」って言うと、年上の人とかがたいてい言うんです、「そこまで言える人と会うのが人生なんだよ」って。でも、そういうことじゃないんだよ、裂かれるみたいに痛いんだよ! って言いたいんですけどね。

 いまでも彼女のことを思い出すたびにその感覚に襲われます。彼女とよく行った場所にも近づけなくなる。ヴィレッジヴァンガードは何年も行けませんでした。でも、みんなそうなんじゃないないかなと思ってるんですけどね。一回くらい、デング熱みたいな恋にかかったことなかったですか?

宮川・記者:……。(記憶を辿る二人)

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「本命のブス」と「二番手の美人」

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