さてここでもう一度、星野源を思い出してみると、“ゴズリング男子”に必要な要素をかなり満たしているように思うのです。
遠目に見れば坂口健太郎(26)だけど、よく見りゃイケメンではない。そして性格面。ささくれ立った部分と、一歩間違えば壊れてしまいそうな危うい感じ。著書『蘇る変態』のこんな一文を思い出しました。
<負けるな。頑張れ俺。限界を超えろ。必ずいい詞が書ける>(p.108)。

星野源の新譜「Famili Song」2017
あと、ツイッタープロフィールに「フェミニストです」との自己紹介があるのが“ゴズリング男子”なのだそうですが、星野源もAV女優についてこんなことを言っていました。
<セックスが好きでそれを職業にしたとして、それのどこが悪い。俺は音楽が好きで、芝居が好きで、文章が好きで、それを仕事にしている。それとセックスが好きで仕事にしていることになんの違いがあるのか。>(p.121)
けっこう違うんじゃねえの? って気もしますが、とりあえず自分の考えを強烈に主張しているようでいて、実は誰からも責められない無難さが際立っている。
この“嫌われない”状態を生み出す力が星野源の特性であって、別の言い方をすれば「山手線で座っていても違和感がないようなユルい個性」(ドン小西氏)という具合になるのでしょう。
そしてそれぞれの国で社会現象と言えるほどの人気を博しているこの両者が揃ってタイトな着こなしを多用しているのは、ただの偶然と言えるのでしょうか?
ガーディアンの記事では、最後に“
ゴズリング男子の見分け方”なんてリストが挙げられていました。なるほどなというのがあったので、最後にご紹介しましょう。
「
“もし万が一女性に対してエラそうな態度を取ってしまったら、俺を安楽死させてくれ”と言う男」
小さめサイズの洋服で締め付けているのは、果たして自分の肉体だけなのでしょうか。
<TEXT/石黒隆之>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter:
@TakayukiIshigu4