周りの同級生たちは、結婚、出産を迎えているそうですが、それについて「おめでとう」という気持ちはあっても、羨ましい、寂しい、とは感じないそうです。
「うちは叔母がずっと独身で、今でもひとりで旅行に行ったりとか。叔父も遅くに結婚したんですが、フリーランスで仕事をしています。なんとなく、そのふたりがロールモデルとしているから、不安になったりすることもないのかもしれません」
未来予想図の中にパートナーがいる気配が感じられないAさんですが、もし結婚するとしたらどんな生活になるのか、想像してもらいました。
「うーん……
家庭内別居とかしそう。シェアハウスの延長というか。どうしても典型的な夫婦じゃないものを想像してしまうんですよね。
気が合う異性は自分と同じタイプの人。踏み込んだ関係になろうとしないから、それじゃあまず結婚には至らないでしょうね。どうしてもしなきゃいけないってなったら別居婚がいいのかな……」
そう言って明るく笑うAさん。
「早い段階で自分は結婚の前段階である恋愛もいらないっていうことに気がつけてよかったです。その分、20代をとても楽しく過ごせましたから」

Aさんは人当りもいいのに…
アプローチを受けても、Aさんはいつも先に自分から予防線を張ってしまうそう。
「あえて先に自分の素の部分を見せたり、気のない返事をしてみたり。そうすると、相手も察して引いてくれる。フッた、フラレたがないので、後腐れなく、友達としてずっと付き合えるんです。
自分がキツくなるのが一番イヤなんですよね。楽しい場を少しでも増やしたい。ああ、あのコと会わなきゃいけないのか、と思うのも悲しいですし」
Aさんの話を聞いて、「本気で人を好きになったことがないだけ」「傷つきたくないだけ」と思う人もいるかもしれません。ただ、彼と話して感じたのは、自分のことも他人のことも一歩引いて見ている人だということ。そういう性分だと、実際、恋愛すること自体難しいのでしょう。Aさんは自分にとっての幸せを人生の早い段階で見つけていたのかもしれません。
<TEXT/ふくだりょうこ>