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小沢健二がセカオワと微妙なコラボ。嵐や欅坂46ともコラボしてみたら?

 今年の2月に19年ぶりのシングル「流動体について」で復活した小沢健二(49歳)が、9月6日にSEKAI NO OWARI(31~32歳、以下セカオワ)とコラボした新曲「フクロウの声が聞こえる」をリリースしました。

小沢健二とSEKAI NO OWARI

小沢健二とSEKAI NO OWARI アーティスト写真

小沢健二ファンを怒らせるコラボに意味がある



 発売前にはシークレットだったのですが、いざセカオワの名が明かされるとSNS等で様々な反応がありました。特にオザケンファンのリアクションは興味深く、あからさまに拒否反応を示す人もいれば、まあアリかなと許容する人もちらほら。ただ、大喜びって感じは少なかったですかね。

フクロウの声が聞こえる

『フクロウの声が聞こえる』

 しかしそれ以上に厳しいと感じたのは、セカオワファンの反応が薄いことです。やはりリスクを負って若い世代のミュージシャンと共演するからには、彼らのファン層へアピールしたかっただろうと思うのです。にもかかわらず、結局いつもの通り、騒いでいるのは長年のオザケンファン。どうしてなのでしょう?

 筆者は小沢健二がセカオワとコラボすること自体、けっこうなことだと考えています。むしろ、もっと売れ線の人でもよかったと思うぐらい。たとえば西野カナでもいいし、嵐でもいいし、欅坂46だっていい。

セカオワの「Dragon Night」をやる小沢健二を見たい



 こんなことを言うと、“オザケンの作風とか世界観と合わないだろ”とお叱りを受けるかもしれません。しかし、わざわざ意外性を狙ってコラボするのに、どうしてこれまでのテイストを守る必要があるのでしょうか?「フクロウの声が聞こえる」がいい曲かどうかは別として、わざわざセカオワの名前を借りてまでやるような曲ではなかったことが残念なのです。

 これはコラボの鉄則なのですが、ランクも世代も上のミュージシャンが後輩とやるときには、ある程度若者にゆだねてしまったほうが上手くいくのですね。むしろ、そうでない限り、意外性も新味も生まれません。今回で言えば、小沢健二がセカオワにフィーチャーされる形で「Dragon Night」みたいな曲をやったほうがよかったのではないか、ということです。


 もちろん、熱心なマニアからは愛想を尽かされる可能性大ですが、小沢健二に全く興味がない大多数の一般層にはそちらの方がアピールできるはず。モッズコートを着こんだFukaseのとなりで大漁旗を振り回す人民服姿のオザケンなんて楽しそうじゃないですか。

ポールやサンタナが、若者とのコラボで成功した理由



 冗談はともかく、よい例が洋楽にあります。たとえば、2000年代前半、売り上げが低迷していたギタリスト、サンタナの話。彼は娘から「もっとパパの曲をラジオで聞きたい」と言われたのをきっかけに、当時流行っていたミッシェル・ブランチやロブ・トーマスとコラボして、とにかくヒット曲を出そうと決心したのですね。

 ここでサンタナは自身の表現欲求や芸術性をぐっとこらえて、ギター芸人に徹しています。そして曲調やサウンドは時代のトレンドを受け入れた。これが功を奏して、見事に復活を果たしたのです。


 ポール・マッカートニーも、2005年に発表した『Chaos and Creation in the Backyard』というアルバムで、レディオヘッドやベックなどの作品で知られるナイジェル・ゴッドリッチをプロデューサーに起用することで、また新たな一面を見せてくれました。両者の年齢差は30歳近いのですが、ゴッドリッチは臆することなく意見をぶつけたそうで、その緊張感がいつものポールとは違ってひんやりとした風情の楽曲にあらわれていました。


 売れたかったサンタナと、新たな刺激が欲しかったポール。目的は違えど、未知のものと出会い、マンネリを覆す体験を欲していた点では共通しています。


 というわけで、シングルの発売に先駆けてアップされたオザケンとセカオワのおしゃべり動画(30分オーバー!!)を見ると、なかなかフィーリングが合っている様子。次こそは「RPG」のように、コンビニで流れたらぴったりくるポップソングを共作してほしいものです。

<TEXT/音楽批評・石黒隆之>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

石黒隆之
音楽批評。ipodに入ってる曲は長調ばかりの偏食家




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