昼はパートOL、夜は風俗勤め。お客に恋してしまったら…
風俗嬢だからなの?それとも…
けれど、そんな甘い付き合いも長くは続かなかった。Aさんと連絡が取れないと「風俗に行っているのでは?」と疑るようになり、不安から執拗にメールを送り、電話をしたり、あげくストーカーのように執着をするようになってしまった。
現場を聞き出して勝手に行くようになり、とうとうAさんは眉間にしわを寄せるように。メールの返信も来なくなり、「忙しい」「忙しい」と、さえこさんを避けるようになっていった。疎ましい存在になっていったのだ。
さえこさんは寂しさのあまり風俗の仕事を再開した。風俗の仕事をしているときだけはAさんのことを忘れることができた。そうしてだんだんとふたりの間に距離ができ、いつの間にか自然消滅した。
<また、お店に出ているんだね>
Aさんから久しぶりメールがきた。写メ日記でも読んだのだろう。さえこさんは嬉しさより、悲しさより、憎悪でいっぱいだった。やはりAさんもまだ風俗サイトを見て風俗を利用しているんだな。私って結局、無料奉仕の風俗嬢だったのかな、といろいろな思いが渦を巻き、その日は散々泣いた。
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「恋をしたことに後悔はないけど、出会った場所がホテルだったことだけがこの恋愛での失態だった」と笑っていたさえこさん。彼女はいまでも風俗嬢として働いていて、独身です。
<TEXT/藤村綾>
【藤村綾】
あらゆるタイプの風俗で働き、現在もデリヘル嬢として日々人間観察中。各媒体に記事を寄稿。『俺の旅』(ミリオン出版)に「ピンクの小部屋」連載、「ヌキなび東海」に連載中。趣味は読書・写真。愛知県在住。 1
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