そのうえ、総務の女性は、別の部署の編集長と不倫関係にあることを打ち明けてきたそう。この会社は危険だとドン引きしてしまい、さっさと辞めて、次の仕事を探そうと決めたといいます。

「ところが、セクハラの次はパワハラでした。校正紙に赤字(誤りの訂正指示)を入れて戻したのに、『直っていないよ』と編集長。2度も3度も繰り返されるので、これはイジメだと。パワハラを証明するためにスマホで校正紙を撮影していると、『何やっているんだ、業務中に!』と言われたんです」
編集長にスマホを取り上げられて、画像を消去された亀井さん。そして会社の守秘義務に反する行為とレッテルを貼られて、なんと解雇を言い渡されたのでした。
「悔しかったけど、グズグズとここに残っているより、逃げるが勝ちと割り切って、最後の仕事に臨みました」
それは理美容の新人コンテスト会場での取材。関係者や参加者、その家族、審査員などを多方面から取材してドキュメンタリータッチで執筆するもの。亀井さんにとっても初めてのチャレンジでした。
「私が最後だと思って書き上げた校了紙を手にした編集長は、『こんな多面的な記事、僕には書けない。スゴい筆力だね』とホメてくれたんです。セクハラ&パラハラ編集長も、仕事だけは認めてくれるんだなぁと、ちょっと感慨深くなりました」
亀井さんはその記事をもって週刊誌に売り込み、現在は記者として活躍中です。
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私達の身近な「セクハラ」 vol.20―
<TEXT/夏目かをる イラスト/鈴木詩子>