「いきすぎたセクハラ告発」を批判したカトリーヌ・ドヌーヴらは“女の敵”なのか?

 名だたる女優陣が黒のドレスで連帯を示した先日のゴールデングローブ賞。大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン(65)のスキャンダルに端を発するセクハラへの抗議の意思表示でした。

 このムーブメントに関わることへの誇りを興奮気味に語ったエマ・ワトソン(27)や、大統領選への出馬まで囁かれているオプラ・ウィンフリー(63)のスピーチが印象的でしたよね。

カトリーヌ・ドヌーヴ

カトリーヌ・ドヌーヴ(Photo/Denis Makarenko)

 そんなわけで、欧米の女優陣がガッチリと一枚岩になっているのかと思いきや、意外なところから「待った」がかかりました。

 フランスの大女優、カトリーヌ・ドヌーヴ(74)が、作家や学者などフランス人女性100人との連名で、<男性には女性を「口説く自由」が認められるべき>との声明をフランスの新聞『ル・モンド』紙で発表したのです。
(以下、< >は声明の引用)

カトリーヌ・ドヌーヴらは何に抗議しているのか



 本来ならば女性同士、しかも同じ業界の最前線で活躍している立場ですから、歩調を合わせてもよさそうなものですが、現在のセクハラ告発運動”#me too”の何に疑問を持っているのでしょうか?

ルモンド

フランス「ル・モンド」紙のサイトに掲載された声明

 当然、彼女だってセクハラやパワハラを許すと言っているわけではありません。

 事実、声明には<レイプは犯罪だ>と明記されています。

 しかし、いま起きているムーブメントはどこか<魔女狩り的になっていないだろうか>、<男性が必死に女性を口説こうとすること自体は何ら罪ではない>のに、その自由さえ奪ってしまうような<純粋志向に支配されていないだろうか>と声明は書いています。

 さらにそうした<禁欲的な…清浄化の波>が大きすぎるので、この運動に100%同調できない人を締め出すような動きになっているのではないか、と危惧しているわけですね。

米国では告発と批判合戦がヒートアップ



 たしかに今、ハリウッドを中心に、過去のセクハラ告発合戦、それに対する言動への批判合戦がヒートアップしています。

ローズ・マッゴーワンとメリル・ストリープ

ローズ・マッゴーワン(左)とメリル・ストリープ

 たとえば、ワインスタイン氏を批判したメリル・ストリープ(68)が、告発の急先鋒であるローズ・マッゴーワン(44)から「偽善者」呼ばわりされてしまったことがありました。「知ってて黙認したくせに!」というわけです。

 これに対して、メリル・ストリープが「本当に知らなかったのだ」と説明した件は象徴的です。

 また、過去のセクハラで何人もが業界を追放される動きに対して、マット・デイモン(47)の発言が大炎上しました。

 マットは、セクハラ告発を「必要なこと」と歓迎したうえで、「だけど、それらの行動には、幅があるよね。お尻を触るのと、子供に性的虐待を与えるのとは、違う。罪の重さの違いを考慮すべき」と発言。

 この発言は、SNS上で袋叩きにあったのです。

 この2つのエピソードからうかがえるのは、セクハラやパワハラを根絶する当初の目的よりも、運動の純然たるメンバーであることの方が重要になりつつあるということですよね。カトリーヌ・ドヌーヴらの声明は、そのような現状に対する警鐘なのです。

犯罪的なセクハラと、不器用な口説きの違い



 さらに、仕事というニンジンをぶら下げて性的関係を強要したワインスタイン氏のケースとは違って、ちょっとした性的な言動までもがいっしょくたに語られてしまっていることへの違和感もあるのでしょう。

カトリーヌ・ドヌーヴ

カトリーヌ・ドヌーヴ自身は、1度の離婚・2人との事実婚と、恋愛を謳歌してきた

<この行き過ぎた正義はすでに犠牲者を生み出しました。
 この男性達が犯した間違いと言えば、膝に触ったり、キスしようとしたり、仕事上の食事の席で『親密なこと』を話したり、相思ではない女性に対して性的な内容のメッセージを送ったりしただけなのに、辞職を迫られたり、職業の遂行を妨げられています>

 確かにことわりもなく身体に触れたりするのは褒められた行為ではありませんが、<同時に、そのような愚かな行為を拒む権利だって存在する>。逆に、愚かでなければ始まらなかった関係だってあるかもしれません。

 男女の仲は、その間で落とし所を見つけるべき事柄であり、法律や条例や思想主義の類で処理できるようなものではない…と、この声明は言っているのです。

 余談ですが、決して美保純(57)の言う「誘われてこそ女優」(声明に賛同しての発言)などといった意味ではないことは、押さえておきたいと思います。

人は「正義」を追求するときほど暴走する



 もちろんカトリーヌ・ドヌーヴらには賛同できない人もいるでしょう。みんなフランス人やイタリア人のようにオープンに恋愛を謳歌する人たちばかりではありませんよね。

 けれどもこの声明で言われている最も大事なことは、人は正しさを追い求めるときほど暴走する、ということなのではないでしょうか。そしてその正義をより正確に定義しようとするときに、容赦なく他者をやり込め排除するケースは珍しくありません。

<もともと女性たちに対して自由に声を上げさせるように始まったものが、いまでは真逆になってしまいました。現状はといえば、反セクハラにとって“正しい”発言だけを強要し、このムーブメントに同調しない人を犯罪者のようにみなしているのです>

 カトリーヌ・ドヌーヴら100人のフランス女性たちには、“#me too”運動のその先に、薄気味悪い社会が見えているのだと思います。

<TEXT/石黒隆之、女子SPA!編集部>

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