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志尊淳の女装が話題のドラマ『女子的生活』は心に刺さる

 ほぼラインナップが出そろい、それぞれに盛り上がりを見せている1月クールのドラマですが、ぜひ見てほしいのが、1月26日に最終回を迎える志尊淳主演のドラマ『女子的生活』(NHK総合 金曜10時)です。
「女子的生活」NHK

「女子的生活」NHK公式サイトより http://www.nhk.or.jp/drama10/joshiteki/

 原作は『ひきこもり探偵』『和菓子のアン』シリーズなどで知られる坂木司の短編小説。神戸のファストファッション会社で働くヒロイン・小川みき(志尊淳)は、トランスジェンダーのレズビアン。つまり、体は男性で心は女性ですが、恋愛対象は女性、という複雑さを抱えた人物です。  ドラマは彼女の日常を中心に、一人の女性として世間の偏見や自分の生き方に立ち向かう姿が描かれていきます。

朝ドラ出演も決定した志尊淳と劇団EXILE・町田啓太の絶妙コンビ

 女装姿の美しさもさることながら、この難役を見事に演じ切っているのが主演の志尊淳。『ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン』や『列車戦隊トッキュウジャー』などで注目を集め、今年4月からスタートするNHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』に出演することも決まっており、今後さらなる飛躍が期待されます。
 また、友人の借金トラブルに巻き込まれ、みきの部屋に転がり込んでくる高校時代のクラスメイト・後藤役の町田啓太(劇団EXILE)も非常にいい味を出してます。  ドラマではジェンダーに対してまだまだ認識や理解のない世間の目に無防備に晒(さら)され、ともすると弾けてしまいそうな張り詰めたみきの繊細な心が、能天気な後藤の明るさに救われる場面も。  どこまでも鈍感で、だけど素直で純粋なバカ男子のノリを町田が上手に演じており、いい感じのバディ感を醸し出しているのです。

「あなたの好きなものは何?」胸を打つ主人公の言葉

 描かれているエピソードも、どれも心に刺さるものばかりです。  第2話では、二人の同級生だった“ミニーさん”こと高山田(中島広稀)が、みきの部屋を訪れます。みきに会うなり「下、切ったの?」「将来とか考えてるの?」「変態だな」「バケモノ」などと、暴言&悪態をつくミニーさんでしたが、みきは鋭い洞察力と分析力で「綺麗になりたい」という彼の本心を看破。ミニーさんにメイクを施してあげ、一緒に夜の商店街を散歩します。
 第3話では、逃げるように飛び出した地元で、みきは父親の富生(本田博太郎)と久しぶりの再会をします。そして町役場の観光課で働く兄・敏生(鈴木裕樹)から心ない言葉を浴びせられ、みきは「別に逃げてるわけじゃない。私はこの格好が好き。ファッションが好き。だからこの仕事をしてるの」と兄をぶん殴り、「兄さんの好きなものはなんなん?」と逆に問いかけます。  また、この回ではそんな兄弟の姿を見守りつつ「子どもの幸せを願わん親なんておらん」「体に気をつけてな、みき」(みきの本名である「幹生」ではなく「みき」と呼んでいるところがポイント)と、息子を想う父のセリフがたまらなく泣かせました。  残念ながらあっという間の最終回ですが、話数以上に深く考えさせられ、何度も見返したい心に残る作品です。つくづく全4話という短さがもったいない! ぜひ続編を見たいです! <TEXT/中村裕一>
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