入社して数年が経つ頃、後輩が続々と入ってくるようになりました。全体の社員人数も増え、女性の割合も少しずつ上がり、賑やかで活気ある雰囲気が高まっていました。
当時の私は、「基本は可愛いらしく、時々先輩らしく」をモットーに服を選んでいました。そこで「先輩っぽさ」を出すべく、スカート派だった私がパンツを購入。チェック柄の、ストレートなラインのものでした。
ある日、社内で作業中に後輩の女性陣にふと目が止まりました。正確に言うと、後輩のBさんのボトムスに。
Bさんは、私が所有するチェック柄のパンツと酷似したものを履いていました。
最初は、仕方ないと思いました。女性が十数人会社にいたら、何かしら同じようなものを選んで着ることはあるだろう、と。
しかし私には、引っかかる点が2つありました。
まずは、「先輩っぽく」したかったのに「後輩とオソロイ」であること。
私の目に狂いがなければ、あのノータック&センタープレスと膝下から裾のラインは、同じ店で買ったものでしょう。ベーシックな通勤服がお手頃価格で買える、ベーシックなお店です。
「え~、何年も先輩なのに、それくらいの値段の服なんですね……」
そんなことは誰も言っていませんが、私の中の誰かがそのように言ってきました。あいにく何年勤めてもお給料に大差ないのですが。
もう一つは、丈感。
Bさんは私より10センチ以上背が高く、無駄な肉のない体躯に手足もスラリと長い子です。「こ、これが平成…か…!」と唸ったものです。
では、同じ服を脚の長さが違う人が履くとどうなるか。想像に難くないでしょう。片や九分丈でくるぶしがしっかり見えるスッキリ感。片や裾上げ幅が微妙なもたつき感。無い物ねだり? 認めましょう……。
幸い、というべきか、Bさんは細かいことを気にしないタイプだったので、その服に関する話題がのぼることはありませんでした。
私はというと、上司の「スカートが似合うね!」の言葉に気をよくして、パンツからはしばらくの間手を引くことにしたのでした。
ここまで書いておいてなんですが、「とりあえずプチプラ」は、私の体験記の時よりも存在価値が上がったように思います。今は、プチプラ服も質が高く、素敵な服がいっぱいありますよね。良き時代になりました。
そして感じ方は人それぞれであり、服が被っても気にならない方もいらっしゃるでしょう。逆に私のように気になってしまう方には、「あるよね……」と思っていただけたなら幸いです。
<文/西田美穂>
【西田美穂】
カラーアナリスト・美容研究家
現在、パーソナルカラー診断サロン「サロン・ド・ルミエール」にて活動中。某カルチャースクールにてアシスタント講師を務める一方、個人サロンを開業し、カラーリストとしても活躍。
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