子育てママに「隠れアルコール依存症」が増えている?ある女性のケース
ある日、大量の空き缶に気づいた夫に問いただされたA子さん。その場で泣き崩れ、すべてを話したそうです。この頃のA子さんの飲酒量はストロング缶(AL9%/500ml)が1日5本になっており、不眠や手の小さな震え(手指振戦)が出はじめていました。
見かねた夫は翌日会社を休み、依存症専門外来にA子さんを連れて行きました。そこで主治医から診断されたのは、「アルコール依存症」。彼女はいま、週に1回の外来治療(カウンセリング)と薬物療法で断酒を継続しています。
A子さんは完璧主義で、周囲に相談するのが苦手で、ママ友や夫にも育児のストレスについて話すことができませんでした。誰かに相談し、頼ること。これはアルコールに限らず、依存症の治療の第一歩です。
もし自分も誰かに頼ることが苦手だと感じていたら、どんな小さなことでもいいので、身近な人に意識的に相談するようにしてみましょう。
【斉藤章佳 プロフィール】
1979年生まれ。精神保健福祉士・社会福祉士/大森榎本クリニック精神保健福祉部長。大学卒業後、アジア最大規模といわれる依存症施設である榎本クリニックにて、アルコール依存症を中心に薬物・ギャンブル・性犯罪・クレプトマニアなどさまざまなアディクション問題に携わる。2016年から現職。専門は加害者臨床。著書に『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)など。
<TEXT/斉藤章佳>
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