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子育てママに「隠れアルコール依存症」が増えている?ある女性のケース

 近年、女性のあいだで増えている「アルコール依存症」。どこにでもいるような普通の生活を送っている女性でも、小さなストレスがきっかけでその穴に落ちてしまう可能性がある、と精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんは言います。

 さまざまな依存症問題の治療に携わる斉藤さんが、そんな「ありふれた女性たち」の事例を綴ります。

※以下、斉藤さんによる寄稿。

ワンオペ育児で孤立していたA子さん


ワンオペ育児で孤立していたA子さん 最近、子育て中の女性からアルコール依存症の相談を受けます。依存症でなくとも、「乱用」のレベルの方は臨床の現場で確実に増えていると感じます。

 3歳の男の子を持つ母親であるA子さん(29歳)も、そんな女性のひとりでした。

 もともと真面目で他人からの評価を気にするタイプで、ひとりで悩みを抱え込みやすい性格のA子さんは、初めての育児で孤軍奮闘。真面目に育児本を読みながら子育てを頑張っていました。

 しかし、ママ友との付き合いに悩みはじめた頃から、子どもを寝かしつけてから寝酒と称して飲酒することが増えてきました。最初は、酎ハイ1~2本(350ml)だったのが、次第に同銘柄のストロング缶3本(AL9%/500ml)を毎晩のように飲むようになっていました。夫は仕事で忙しく、いわゆる「ワンオペ育児」状態で、お互いの両親もまだ現役で仕事をしていてなかなか頼れません。

 ご存知の通り、妊娠中は飲酒や喫煙はできません。妊娠中の女性が飲酒すると、胎盤を通じてアルコールが胎児の血液に流れこみます。胎児はアルコールを代謝する能力が未発達なので、母体よりも大きな影響を受けます。そのため、早産や流産、胎児の障害につながる危険があるのです。妊娠中の飲酒が胎児にもたらす障害を「胎児性アルコール症候群(FAS)」といいます。これらのことを女性は知っているからこそ、妊娠中は飲酒しません。

 しかし出産後、もともと飲酒習慣があった女性は、さまざまな理由からアルコールに耽溺していくケースが増えています。

 A子さんはまさに出産後、孤立してアルコールにハマっていった典型例でした。

引き金を引いたのは「ママ友LINE」


引き金を引いたのは「ママ友LINE」 一番の悩みは、幼稚園のママ友との付き合い。みんなLINEでつながっていて、A子さんもグループLINEに入っていましたが、いつからかそのグループ仲間から避けられているように感じたA子さんはLINEをチェックしなくなりました。

 そうすると幼稚園での細かいママ友情報(主に人間関係図)が入ってきません。次第に、幼稚園に子どもを迎えに行っても、先生以外誰とも話さずに帰る日が増えてきました。

 やがて、子どものお迎えから帰宅してすぐ自宅で飲酒するようになっていました

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大量の飲酒が夫にバレ…

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