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「anan」のセックス特集は今年も女性に呪いをかける

 雑誌におけるセックス特集シーズンが到来しました。たった1週間のあいだに「anan」「GLITTER」「Tarzan」がどどどっとセックス特集号を発売。

 なかでも注目度が高いのは、やはり老舗「anan」です。8月に入るとすぐにカバービジュアルを公開するのも、毎年恒例のパターン。今年表紙&グラビアを飾るAAAの西島隆弘氏のきれいなお顔とボディ、妖しい表情に期待が高まった女性は少なくなかったと思われます。

anan

Amazonより

 そしてリリースされた「愛とSEX」特集。一読して筆者は、「女性が主体的に楽しむセックスを提案するのは、そんなにむずかしいのだろうか」と空を見つめたのです。これまた、毎年恒例の儀式です。

セックスに積極的な女性像を打ち出す今年の「anan」


 冒頭の「ananセックス白書2018」では、アンケートをもとに今年の傾向を探っています。それによると、男女ともにセックスが好きで性欲に自覚的で、好きな相手とのセックスにおおむね満足しているのだとか。

 男性は自分のセックスに自信がない人が半数近くいて、とても謙虚。一方でワンナイトラブの経験者の女性が少なくなく、自分から“持ち帰る”ほとアグレッシブに楽しむ人も。女性=受け身というのはもう古い、私たち心も体も満たされたいよね! というのが、アンアン世代のセックス観なのだそうです。

 つまり、今年の同誌が打ち出してきたのは、性に積極的な女性像。けれど、セックス特集バックナンバーを読み返してみると、セックスを好きといっている人の割合も、満足度の高さも、自覚している性欲の強さも、例年とたいして変わらないんですよね。なのに、なんで急に今年だけ「積極的」って思った? 2016年号をふり返ると、セックスに自信がないと思っている女性の割合、今年「自信がない」といっている男性の割合と変わらないんですよね。なのに、なんで男性だけを「謙虚」と評価する?

2016anan

2016年版の表紙は指原莉乃

 読者のみんな~、いまどきの男性はセックスにコンサバだから、私たちが積極的にふるまって心も体も満たせるセックスしちゃお☆ という突然のノリにやや面食らいましたが、まぁ歓迎はできます。

昨年から続く「男性を傷つけないように!」キャンペーン


 2017年の同特集は、「男性は繊細なので傷つけないように!」キャンペーンが展開されているとしか思えない内容でした。2016年は、女性側から「気遣い、奉仕、我慢」を差し出して、男性から「愛されているという実感(錯覚も含む)」をもらうためのさまざまなテクが紹介されていました。だから、今年の姿勢はとても好ましく思えたのです……、が。

 読み進めると、女性にとって至高なのは「大切にされるセックス、愛されるセックス」であるとじゃんじゃん刷り込まれるのです。セックスで快感を得るにはそれが必要だと、メンタリストDaiGo氏はいいます。そうですかね? 自分の心身の安全が確保されていないセックス(というか、それってもう暴力)は論外ですが、女性だってただ体の満足を追求するセックスがあってもよくないですか? 受け身ではなく、女性から「大切にする、愛する」を表現するセックスをしたってよくないですか?

 同氏は、「男性からの愛撫が痛くても、彼を傷つけないよう伝え方を工夫する」だの「ひとりの女性とのセックスに飽きるのは男の本能、女性の努力によってマンネリ回避」だの、20、30年前のゴシップ誌ですでに書かれていたような、手垢がつきまくったベタベタの男目線アドバイスをくり出してくるので、「セックスを積極的に愉しむ女性像」はページをくるたびに霞んでいきます。なんだ、男を傷つけるなキャンペーンは今年も継続中だったのね!

「大切にされる、愛される」条件が厳しすぎて凹む


 しかも、雑誌をとおして見ると「大切にされる、愛される」には資格がいるのだとわかります。男性から欲情されるボディ、じゃないとダメなのです。「男子の気持ちを徹底調査! 実践的“そそるカラダ”考察」コーナーを読んでいるうちに、筆者はどんどん自分が下げられていくのを感じました。

 たとえば、ウエスト。男性へのアンケートで、くびれがあるのは「理想」、寸胴は「セーフ」、むきむきは「セーフ」。ここまでが及第点で、ハミ肉は「要改善」の烙印を押されます。要改善なんていってますが、セーフの反対はアウトですよね。そうやってバストの大きさ、肌の質感、おしりの形、デリケートゾーンが男性によって細かくジャッジされ、こんな体型だと俺たちは欲情しないゼと主張されます。

水着

写真はイメージです

 さらにふたりの男性お笑い芸人が、こんな体は触り心地が味気ないとか、女性の体毛でこういうのはヤダとか、好き勝手いう対談につづきます。これが、ま~ヒドい。その暴言の数々は、「結局、男子は女子に幻想を抱いているから、できるだけそれを壊さないでほしいのが本音」で締めくくられるのです。

 通底するのは「男のために」という考え方。どんな体型でも女性の身体はその人のものであって、男性を欲情させるために存在する道具ではありません。清潔感やエチケットは大事です。でも、自分の体をみがくのは自分のため、でいいじゃないですか。

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女性誌が男目線で女性の体を査定する意味とは?

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