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窪田正孝と勝地涼の“新喜劇”。ドラマ『ヒモメン』は頭カラッポで癒やされる

 窪田正孝(30)主演のドラマ『ヒモメン』(テレビ朝日系)が第5話まできました。土曜の深夜23時15分という絶妙な時間に放送される、ヒモ男とそれを更生したい彼女が繰り広げるドタバタコメディ。1週間の仕事に疲れきった女性が、頭の中をからっぽにして見るには最高のドラマと言えるでしょう。


 難しいこと・ややこしいことは一切なし。窪田正孝演じるヒモ男・翔のかわいさと、その彼女であるゆり子(川口春奈)のキュートな衣装・メイク勝地涼演じる医師の池目先生の顔芸に癒されまくって、日常の煩わしいことが忘れられるかもしれません。

 見るときのポイントはただひとつ。「何も考えずにただ楽しむ」こと。脚本が極めてシンプルなうえに、話の展開が大味なので突っ込みどころは満載なのですが、いちいち突っ込んでいては、この作品を楽しめません。

 5話では翔とゆり子がおしゃれなレストランで食事をしているシーンから始まります。翔がごちそうしてくれると思っていたゆり子ですが、そこはヒモ男。なんやかんやのやりとりを経て、いつもどおり、ゆり子がお会計をすることになります。


 そこへ、謎の男・豊川(音尾琢真)が登場。「こんな贅沢をするならお金を返してください」とゆり子に詰め寄ります。豊川によると、ゆり子は翔を養っているせいで深刻な金欠に陥り、借金が1000万円あるとのこと。

「払えないなら体で払え!」とゆり子を連れて行こうとする豊川。そのやりとりを見て、翔は必死にゆり子を守ろうとします。「彼女を連れて行かれたら僕は困るんです! 僕は生きていけない!」という一見、かっこいいセリフを決めますが、考えようによってはヒモ男ならではのゲスな発言にも捉えられます。

 そんな翔に対し豊川は「彼女を守りたいんだったら、お前が代わりに稼げ」と言い、翔を工場の肉体労働作業に従事させるのでした。


 冒頭の数分でこの展開。「この時代にレストランで拉致って……」「1000万の借金って……」ってとツッこんでいてはこの番組は楽しめません。
 実際にTwitterでも視聴者の関心はそんなことより、「翔ちゃん安定のかわいさ!」「こんなヒモなら、養ってみたい」「音尾琢真さん出たー」と役者陣に期待をよせて、大盛り上がりでした。

 こうして肉体労働に従事する翔ですが、実はこの流れ自体、翔を働かせたいゆり子とゆり子が勤務する病院の先輩である聡子(佐藤仁美)が仕組んだものだったのでした。
 豊川は聡子の恋人で元はヒモだったのですが、見事立ち直り、その体験を生かして「ヒモ更生ブログラム」を編み出し起業をした人物だったのです。


 豊川と聡子に、翔をなんとしてでも更生させてほしいと頼んだゆり子。翔はゆり子を守るために、騙されつつもけなげに働きます。その結果、仕事後に豊川から渡されて飲んだ水道水をおいしいと感じ、労働の尊さを知るのでした。

 翔が更生するかと思いきや、そこへ、翔とゆり子の仲をひきさこうとする、ゆり子の職場で勤務する医師・池目先生(勝地涼)が登場。もはやこのドラマの見どころとなりつつある、池目先生。ゆり子にストーカーまがいの恋心を抱き、働く翔の邪魔をしようと、翔を勤務先まで送ろうとして、パチンコ屋の前に連れて行きます。さらには答えがすべて「パチンコ」「スロット」になるように作られたお手製のクロスワードパズルを翔に渡して、翔の労働意欲を削ごうとする池目先生。

 お手製のクロスワードパズルまで作る池目先生に「もはや、ゆり子ではなく翔のストーカーだろ」とTwitterも盛り上がります。


 その後、翔は豊川に連れられ、無理やり「ヒモのカリスマ」として全国のヒモ男を前に、『ヒモ講座』の講師をやらされることになります。

 ヒモ男たちからの質問に堂々と回答し、拍手を受けていい気になる翔でしたが、ヒモ男の「彼女を乗り換える時期は?」「結婚の話をしてきて、潮時だと思うのですがどうしたらいいですか?」という質問に突然ブチ切れ。

 「彼女をなんだと思ってるんだ!」と怒り、ゆり子への深い愛を表明します。


 講義を終えた翔は、講師料として豊川から3万円を受け取り、感極まって涙を流します。さらには行きつけの飲み屋のマスターに「3万円は大切な人のために使え」と言われて感動。ゆり子の姉・桜子(片瀬那奈)の昇進祝いをすべく、ゆり子と桜子をディナーに誘い、ごちそうすることを決意するのでした。

 しかし、会計時にまたしても池目先生が登場。スピードくじ大会のチラシを翔に見せ、3万円をつぎこむように誘惑します。迷う翔。さらに豊川まで登場し「今、そのお金をくじで使ったらヒモに逆戻りだぞ! 今こそ生まれ変わるんだ!」と翔に喝を入れます。

 しかし翔は「今、幸せだから変わる必要ない」と豊川に反論。ゆり子と一緒にいることと、楽して生きることが翔の幸せであることを説きます。


 ここで、翔に説き伏せられた豊川は、翔が「労働後の水はおいしい」と言って飲んだ水は水道水ではなく、ミネラルウォーターであったこと、講師としての報酬3万円を受け取り、翔が涙したのは玉ネギの成分をしこんでいたことなど全てをバラシします。
 そうこうして、結局スピードくじ大会にお金をつぎこんだ翔ですが、翔の深い愛情を確認し、ゆり子は翔に惚れ直すのでした。

 5話まできましたが、展開はいつも一緒です。冒頭で翔とゆり子をひきさこうとする人物が登場し事件を起こします。この人物は「権力」「金」「地位」に人生の価値を置く「ヒモ」のアンチテーゼ的存在であり、そこに狂言回しとして池目先生が登場。勝地涼の圧倒的な顔芸でストーリーを結末に向けて転がしていきます。  

 最後は翔がヒモならではの言動で事件を解決、敵をうちまかして一見落着。翔とゆり子は仲良く暮らすという展開で終わります。


 吉本新喜劇や水戸黄門を見ているような心境になるこのドラマ。問題を解決するアイデアまで、大味で突っ込みどころ満載ですが、それゆえにコメディ要素が強まっています。毎回同じ展開なので見やすく、安心して週末の夜をゆるゆる楽しめます。
 
 このドラマの最大の見所はやはり豪華なキャスト陣。もはやゆり子そっちのけで、繰り広げられる翔と池目先生のやりとりにTwitterは常に大盛り上がり。ゲストキャストも毎回豪華です。

 5話ではゲストキャストとして演劇ユニットTEAM NACS所属の音尾琢真や『ヒモ講座』に参加するヒモ男役としてマイケル富岡や超特急のリョウジが登場。絶妙なキャスティングでクスリと笑わせてくれました。


 笑わせてやろう! という製作陣の熱い思いが随所から伝わってきます。次回から最終章に突入ということで、この後翔とゆり子の関係がどうなるのか目が話せません。

<文/瀧戸詠未>




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