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松田龍平が映画を面白いと思えた瞬間を振り返る。「こういうことって起こりえるんだ」

――どういった部分がシンクロしたのでしょう。 松田:瀬川さんは小学生のころから将棋をひたすらやってきた。僕は15歳で急に役者の世界に入って、それしかやってこなかった。そうした部分も重ねました。そんななかで、瀬川さんは一度将棋を失って、そこから大学に入り直してサラリーマンを経て、もう一度将棋の面白さを言った。 その道しかなかったものを一度失って、また向きあって、ちゃんと前に進む。その姿に影響を受けました。それに瀬川さんがプロ編入に合格したのが35歳で、僕もいま35歳。たまたまかもしれないけれど、そうしたところも何か縁を感じました。
『泣き虫しょったんの奇跡』より

『泣き虫しょったんの奇跡』より

出会うべきタイミングで出会った作品

――松田さんは、役者の道を順調に歩まれています。それでも改めて役者業に向き合った瞬間、作品というのはありましたか? 松田:どの作品にも思うところはあります。ただやっぱり、豊田監督は映画って面白いなと思うきっかけになった方。実感のないままに大島渚監督の『御法度』(1999)に出ちゃって、自分が何者でもないところで、呼ばれるがままにやっていた。正直、映画についても役者についてもよく分からない感覚でした。 でも豊田監督と『青い春』(2002)でご一緒させていただいて、年齢が近かったり、青春の話だったこともあってか、出来上がった映画を、素直に「あ、面白いな」と思えた。そういう作品に出会えたこと自体を、「すごい、こういうことって起こりえるんだ」と感じました。豊田監督は信頼している監督だし、今回の作品も、出会うべきタイミングで出会ったんだと思います。
『泣き虫しょったんの奇跡』より

『泣き虫しょったんの奇跡』より

====  どんなジャンルのどんな役柄も、自分と溶け合わせ、リアルなキャラクターとして息づかせる松田さん。本作では実在の瀬川さんのスピリットを自分の中に溶け込ませていったそうです。瀬川さんの気持ちがチャンスを呼び込んだと語った松田さんですが、そんな松田さんにはいい作品を引き寄せるパワーがあるのだと感じます。 <TEXT&PHOTO/望月ふみ> (C) 2018『泣き虫しょったんの奇跡』製作委員会 (C) 瀬川晶司/講談社
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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『泣き虫しょったんの奇跡』は9月7日より全国公開
配給・宣伝:東京テアトル
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