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『獣になれない私たち』の新垣結衣にイラつく人が続出のワケ

「獣になれない=本音で生きられない」のはなぜ?

 パワハラ社長などは、うまくあしらえば能力を認めてくれてバンバン昇給してくれたり、要求を飲んでくれたりしそうな、ある意味「たやすい社長」に見えます。自分を頼りっぱなしでやる気のない同僚・ダメな部下などについても、「リーダー」としてうまくコントロールすればいいんじゃないかと思う部分はあります。  それよりも、やっぱりイラつくのは、恋愛のことです。  晶は親の介護をしているわけでもなく、自身が病気を患っているわけでもなく、病弱な子を育てているわけでもなく、自分の意思で自由に行動できるはずです。恋愛はあくまで自分が選んだものなのに、なぜこんなに迷宮に入って悩み続けるのか?と思ってしまいます。  それは「獣になれる=本音を言える・本能で生きられる」側の言い分なのでしょうか。  しかも、獣になれない人たちは「バカ(獣)になれたらいいのにね…」と言います。  これは、「獣になれない=本音を言えない人たち」の「優しさ」や「責任感」のように見えて、実は強い強い「自己愛」が透けて見えるような気がします。  はたから見れば、晶のように4年も同じ恋愛の悩みで堂々巡りしたり、感情を殺してブラック労働に耐え続けるほうが、よっぽど「バカになる」ことだと思うのですが…。

自己肯定感が低いのに自己愛は強い人、周りにけっこういるかも

『けもなれ』の晶を見ていてイライラするこの気持ち、実は実生活でも経験したことがある人、けっこういるのではないでしょうか。  会うたびにずっと同じ愚痴を言い続ける相手に対し、わずかでも力になれることがあればと悩み、考え、一生懸命に改善策などをいろいろ提案し続けても、ことごとく「でも、だって~」でスルーされるという経験。  愚痴はエンドレスに言うのに、周りの人間の言葉には全く聞く耳を持たず、答えを見つけようともせず、同じ場所で堂々巡りの自分語りをし続ける友人・知人の話を聞いているときのような気持ちになってきます。  こういうときの無力感ったら、ない。むなしくなります。  自己肯定感が低いのに、自己愛は強い人。実はいちばん扱いにくいタイプのヒロイン・晶ちゃんのような人は、意外と身近にいる気もします。  そんな晶ちゃんが第5話最後で、ようやく動き出しました。イライラしつつも、見守っていきたいと思います。 <文/田幸和歌子>
田幸和歌子
ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など。Twitter:@takowakatendon
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