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『中学聖日記』の岡田健史・19歳は大正解。その初々しさに悶絶…

 中学校教師の聖(有村架純)と生徒・晶(岡田健史)の“禁断の愛”を描くドラマ『中学聖日記』(TBS系、火曜夜10時~)。作品テーマから批判されることも多いですが、SNSなどで話題を集め、視聴率も上向いてきました。


 2人の関係が問題になり、聖は中学校を辞めて、晶の前から姿を消します。
 そして3年後。小学校教師となった聖は平穏に過ごしていましたが、ある日、街で晶の姿を見かけてしまいます(第6話・11月13日放送)。晶は高校3年生、18歳のうるわしい青年になっていました。

 そして第7話(11月20日放送)でついに再会し、晶に思いを告げられるも、「もう会わない」とつっぱねる聖――。

19歳の新人・岡田健史を抜擢したのは大正解だった


 そもそも晶役の岡田健史は19歳。6話で18歳になって、やっと役が実年齢に追いついたわけです。
 中学生役だった1~5話では、「中学生には全く見えない。高校生に設定を変えれば良かったのに」という指摘もたくさんありました。でも、ドラマで「正しい世界」「リアルな世界」ばかり見たいものでしょうか。


 ドラマ、さらにいえばフィクションにおいて大切なことは、「設定のリアリティ」ではなく、登場人物の「心情のリアリティ」ではないかと思います。

「中学生を好きになるなんて心情、ありえない」「特殊な環境や事情を抱えた人でもないのに」と思う人もいるでしょう。

 でも、「特殊」なのは、「学校」という空間ではないかと思います。
 教師として人間として未成熟な女性が「学校」という空間にいるとき、まだまだ学生気分が抜けきれず、「懐かしい」と感じたり、ドキドキしたり、心の揺れを感じてしまうことがあるのではないでしょうか。

 そんな「普通じゃないこと」に説得力を与えているのは、映像の美しさと、ヒロイン・有村架純の未成熟な湿っぽい色気、晶を演じる岡田健史の真っすぐで純粋な目です。

 そして、今作の演出の巧みさを感じるのは何より中学生役に「大人に見える19歳の新人俳優を起用したこと」です。

 岡田健史は、オーディションで数百人の中から『中学聖日記』に大抜擢された、まさに新人。高校時代まで野球一筋でしたが、芸能事務所にスカウトされて今年芸能界入りしたばかりでした。

原作と違う「母子家庭」という設定にした意味


 原作の同名漫画に比べて、ドラマの晶はずっと男らしい顔立ちで体も大人に見えます。

原作中学聖日記

原作漫画『中学聖日記』(かわかみじゅんこ著)

 漫画では聖が晶に対して「女の子みたいにキレイな顔をしてる」と言って、晶にぶたれますが、この唐突なシーンを成立させているのは、晶の「大人のような見た目ながらも、幼い精神性を持つ」アンバランスさだと思います。

 そして、そのアンバランスさの原因にはおそらく晶の家庭環境があることが見て取れます。

 原作では、晶の両親は離婚していません。「名前」も与えられていません。

 しかし、ドラマでは母一人子一人の家庭で育ったという設定になっています。ここに大きな設定変更があります。

 晶の母親役は夏川結衣。父が家を去った後、不倫した母は、その思いを忘れるために、自らの恋や「女」の部分を封印し、仕事と子育てに追われてきました。

 だからこそ、そんな母にとって晶は「いつまでも幼い子ども」でいてほしい――。そうした思いが、大人のような体格に不似合いな、子どものような素朴なカーゴパンツやオレンジTシャツなどの晶の服装に込められているように見えます。

大人になろうとする男子の混乱


 母に「子どものまま」を望まれ、愛情を注がれて育ってきた少年が、恋を知ったことで、大人になろうとしている「混乱」。

 そのリアリティを生々しく描き出すために岡田健史の初々しく瑞々しい存在感は必須だったのでしょうし、ドラマでの家庭環境の設定変更も必要だったのでしょう。

 そして、その「混乱」に触れることで、未成熟な女性・聖が大きく心をかき乱され、恋に落ちてしまうのです。

 悲しい別れから3年後。大人と子どもの間で混乱を抱えていた晶は成長しました。そして、もちろん聖も……。

 再会した2人は、このまま別れてしまうのか、思いを実らせるのか、目が離せません。

<文/田幸和歌子>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

田幸和歌子
ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など




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