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松下奈緒の“耐える妻”が泣ける…『まんぷく』『ゲゲゲの女房』の共通点

 絶好調のNHK朝ドラ『まんぷく』ですが、『ゲゲゲの女房』(2010年上半期の朝ドラ)との共通点がひそかに注目されています。  実在の人物をモデルとした物語であること、仕事に没頭する夫を見守り、支える妻がヒロインであることなどから、何かと共通点が多いのです。 『まんぷく』は、インスタントラーメンを開発した日清食品創業者、安藤百福さんと妻・仁子さんがモデル(長谷川博己と安藤サクラ)。 『ゲゲゲの女房』(以下、『ゲゲゲ』)は、「ゲゲゲの鬼太郎」などで知られる漫画家・水木しげるさんと、妻・武良布枝さんがモデル(向井理と松下奈緒)。  どちらも、戦争をはさんで、試練を乗り越える夫婦の姿が描かれています。  しかも、『ゲゲゲ』のヒロイン・松下奈緒は、『まんぷく』ではヒロインの姉役(松坂慶子も両方に出ています)。

両作とも、筆一本の夫を支える松下奈緒

 さらに、ここにきて「松下奈緒」が演じる『まんぷく』の姉・克子と夫の関係性と、『ゲゲゲ』のヒロイン・布美枝と夫の関係性の類似点も一部視聴者の間で注目されています。
『ゲゲゲ』では、松下奈緒の夫・茂(向井理)は漫画家で、前述した通り、仕事に没頭し、家庭のことはほったらかしでした。 『まんぷく』でも夫・忠彦(要潤)は絵ばかり描いている画家で、やはり家庭のことはほったらかし。 『ゲゲゲ』では、夫は戦争により、片腕を失い、心にも傷を負っていました。 『まんぷく』では、夫は戦争により目をやられて色覚異常になり、やはり心にも傷を負います。  いつも松下奈緒の夫は、戦争によって傷つけられてばかり。
ゲゲゲの女房

『ゲゲゲの女房』DVD

 また、夫の職業も『ゲゲゲ』では漫画家、『まんぷく』では画家と、どちらも筆一本で生きています。  SNSなどでは、『まんぷく』の忠彦さんが、『ゲゲゲ』の茂のように、紙芝居や貸本作家を始めるところまで妄想するつぶやきがありました。 『ゲゲゲ』では、ヒロインの父(大杉漣)が、娘を心配するあまり茂のもとに嫁がせたのは失敗だったと言うのに対して、松下奈緒は涙ながらに「うちの人は、本物の漫画家ですけん」と訴えます。 『まんぷく』では、目を病んでも、やはり絵を描きたいという忠彦に対し、松下奈緒は「許すも何も、あなたは画家やないですか」と言います。  夫の仕事への情熱に対して尊敬の念を持つあまり、ほったらかしにされても不平不満を言わず、耐えているところも共通しています。  とはいえ、同じ松下奈緒でもキャラクターは少し違います。『まんぷく』の克子は、母の仮病を見抜くなど誰より冷静で客観的で、日頃はサバサバしているのに、夫にだけは甘い。『ゲゲゲ』の布美枝さんが、常におっとりしていたのとは異なるポイントです。  だからこそ、『まんぷく』では、何かに取り憑かれたように倒れるまで絵を描く忠彦を止められない克子の、惚れた弱みが見える展開でした。 ―NHK朝ドラ『まんぷく』レビュー― <文/田幸和歌子> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
田幸和歌子
ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など。Twitter:@takowakatendon
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