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来春発売の「液体ミルク」はこんなに便利。1日も早く欲しいママたちの声

 江崎グリコは、封を切ればそのまま飲めるという乳児用の「液体ミルク」の開発・製品化に成功、先月19日には災害時の救援物資として備蓄する取り組みについて会見を行いました。そして同29日、紙パック入りの液体ミルクを2019年春に発売すると発表しました。 ミルクを飲む赤ちゃん 欧州では一般販売され普及している「液体ミルク」ですが、日本では長らく粉ミルクが主流でした。ではなぜ、このタイミングで「液体ミルク」が一般販売されることになったのでしょうか。

外出先でお湯難民、夜中のミルク作り…「粉ミルクの苦行」

 哺乳瓶からミルクを飲む乳児の姿は、見ていてとても愛くるしく感じるものです。その一方で、粉ミルクは決められた時間に、決められた量をお湯で調合し、冷ましてから乳児に与える必要があるため、産後間もない母親にとって負担に感じることが多いというのも事実です。  作った粉ミルクは保存ができないため、都度、夜間に起きてミルクを用意する作業はなかなかのつらさ。また外出先でも、お湯を入手できてミルクを作れるような場所は決して多くなく、お湯を求めてさまよったり、魔法瓶を持ち歩いたり…となりがちなのも悩みの種。 粉ミルク作り 調合しなくとも、温めるだけですぐに飲める液体ミルクはそんな子育て中の人たちにとって、まさに夢のようなアイテムです。では、なぜ現在まで液体ミルクは国内で流通されてこなかったのでしょうか。

液体ミルクは、作るための“法”が整備されていなかった

 これまでに液体ミルクが販売されなかった要因としては、牛乳やその他の乳製品について、成分や製造基準などを定めた省令である、『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令』において、乳児用の「粉ミルク」は規格基準(成分などに関するルール)が記載されているのですが、「液体ミルク」については記載がなかったためです。 「液体ミルク」を作るためのルールがそもそも定められていなかったために、製造も販売もできなかったのです。

国が動いたきっかけは、主婦の署名活動と熊本地震

 この状況に風穴を通した一人の主婦がいます。末永恵理さんは、出産後に授乳で苦労した際、海外で普及されている液体ミルクが国内では販売されていないことを知り疑問を持ちます。そして、2014年に、国内で液体ミルクが市場に出回るように、「乳児用液体ミルクプロジェクト」を立ち上げ、国内での液体ミルクの流通にむけてインターネットで署名活動を行い、4万人以上の署名を集めました
乳児用液体ミルク製造・販売の署名運動

※change.orgより https://www.change.org/p/
「お出かけや災害の時に赤ちゃんがすぐ飲める乳児用液体ミルクを-日本でも製造-販売してください」

 そして、2016年の熊本地震で液体ミルクのニーズは一気に高まります。熊本地震では一部地域で1ヶ月近く断水され、復旧後も水の濁りが続いたため、粉ミルクが必要な乳児に安全なミルクを提供するのが困難な状況になりました。そんな折に、フィンランドから支援物資として液体ミルクが届きます。  保存ができ、非常時でも衛生的に飲めるミルクとして、非常時の液体ミルクの重要性と認知が広がったのでした。  この流れを受けて、厚生労働省は今年の8月に省令を改正・施行し、今まで記載のなかった「液体ミルク」の規格基準を定めました。こうして、国内での液体ミルクの製造・販売が可能になったのです。
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待ってました! 子育て世代の反応
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