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帰省中の新幹線で隣の女性に無断で写真を撮られた。その女性には辛すぎる事情が…

 旅は人を変えるとも言いますが、帰省のために乗った列車で思わぬかたちで、人との関わりができることもあるそう。  毒親で悩む女の子が、生き方を変えるきっかけになると思われる道行きに、たまたま隣り合わせたという人の話を聞いてみました。
新幹線

写真はイメージです(以下同じ)

 W美さん(23)は今は東京で暮らしていますが、実家は兵庫県。年末の帰省の際は、いつも新幹線を使っているそうです。  この時期はどうしても、人がごった返して混雑を極める新幹線車内。一昨年の12月30日、無事に自由席の争奪戦に勝利したW美さんは、席に座った途端にほっとひと息ついて買っておいた穴子弁当に舌鼓(したつづみ)を打っていたところだったとか。 「隣の席には、私と同い年くらいの、ちょっと暗そうな女の子が座っていました。私は特に気にも留めず、バクバクと弁当をほおばっていたのですが、そのうちにその隣の女の子がチラチラと私の方をやたら覗(のぞ)き見していることに気づきました」

隣席の女の子に無断で2ショット自撮りされた

 その視線がつい気になって、彼女の方を見てしまったW美さん。その瞬間にスマホが向けられ、カシャリと音がしました。なんと、彼女はW美さんと自撮り風の2ショットを撮っていたのです。 「その大胆な行動にビックリして声も出せなかったんですけど、彼女のスマホを見たら両親宛っぽいメールを送ってたんですよ。そこには『今年は友達と2人で旅行に行くから実家には帰りません』と書かれていました」 自撮り写真に参加させられた もちろん添付にはW美さんとの2ショット。はっきり言ってねつ造です。  変なことの片棒を担ぎたくなかったW美さんは「ちょっと、それどういうこと?」と彼女に抗議をしました。すると、その子はホロホロと涙を流しながら、その身の上を語り出したのです。

ひどい毒親の話を聞いて、思わず協力してあげた

「聞けば、彼女の実家の親はそうとうな毒親でした。まったく働いていないらしく、帰省すれば数十万単位の金をせびられ、さらに完全に財産目当てで50歳過ぎの独身男との見合いを勧めてきたり、近所や親せきの女の子が結婚しただの、子どもを生んだだのを引き合いに出して『おまえはダメな人間だ』などの罵声を浴びせるんだそうです」 毒親 実家には帰りたくない。でも、友達もいないから帰らない理由も作れない。以前「今年は友達と東京で過ごす」と言ったら「嘘をつくな」と言われ、友人と遊んでいる証拠を見せろとまで詰められたそうです。  実家は北陸だそうですが、あまりにも帰るのが嫌で、気づけば全く違う方に向かうこの新幹線に乗っていたのだとか。彼女のことがすっかり可哀想になってしまったW美さん。真剣に彼女の話を聞きながら、とりあえずの打開策を提案しました。 「1週間は実家にいる予定だったので、服はかなりの量を持っていたんです。なので、服装を変えつつメイクも色々バリエーションを作って、髪型は帽子やアレンジでごまかして、大量の『友達と一緒にいる』写真をねつ造してあげました」

毒親と関係を断つ決意をした彼女

自立 これでしばらくは実家に帰らない理由付けができると、女の子は大喜び。  しかし、根本的な解決にはならないだろうと踏んだW美さんは、「友達を作れ」「せめて明るい表情でいろ」「親にこれ以上期待をするな」と懇々とさとして、連絡先の交換までして神戸駅で降りたそうです。 「あの子は福岡まで行くって言ってましたね。縁もゆかりもない土地だそうですけど、私と話をしているうちに決意ができたらしくて、そこで仕事も見つけて親から行方をくらまして一からやり直したいと言っていました」  実はW美さんも毒親に苦しめられた経験を持つ子どもだったそう。現在は完全に没交渉となっており、地元である兵庫には仲の良かった同級生たちに会いに帰っているだけなのだとか。 「あの子からは、今でもちょこちょこ連絡は来ますよ。福岡が肌に合ってたみたいで、友達だけじゃなく彼氏もできたとか。あのまま毒親から逃げ切ってくれるといいなと思っています」 ―年末年始のトンデモエピソード― <文/もちづき千代子 イラスト/ただりえこ> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama
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