正月旅行で涙の予約ミス。ホテル難民のカップルが救われた意外な解決法
この年末年始、旅行した方も多いのではないでしょうか。でも、注意しなければならないのが、ホテルや交通機関の予約ミス。
「私も2年前の正月、やらかしてしまったんです(苦笑)」
楽しい旅行が一転して悪夢になりかけたと振り返るのは、下地さなえさん(仮名・33歳/中学校教諭)。
当時は現在の夫である彼氏と年末年始を利用して4泊5日の予定で北海道を周遊。ホテルはネットの予約サイトから手配したそうですが、3~4泊目の宿に予定していた函館のホテルで痛恨のミスを犯してしまいます。
「札幌から最終の特急で向かったため、ホテルに着いたのは夜11時過ぎ。昼間の観光と長時間の移動で疲れてしまい、早く部屋でゆっくりしたかったのですがフロントでチェックインしようとしたら
『お客様、確認しましたところ、明日からの予約になっているのですが……』
と申し訳なさそうな顔で言われたんです。このとき、はじめて予約の日付を間違えていたことに気づきました」
それでもホテルの部屋が空いていれば泊まることはできますが、ちょうど年末年始の旅行シーズンということもあって満室。
彼がスマホで宿を探していましたが、空室検索では1泊3万円以上するような温泉旅館が数件ヒットするだけだったといいます。
「この時間から泊まるには高すぎますし、そもそも予算オーバー。ダメ元で周辺のビジネスホテルに部屋が空いてないか聞いて回りましたが、いずれも全滅。彼は無言でスマホをいじっているし、今晩泊まれる宿がないことで怒ってしまったと思っていたんです」
しかも、外は小雪が舞っており、気温も氷点下。すでに時刻は深夜12時を回ろうとしており、さなえさんも途方に暮れてしまいます。
「彼には何度もゴメンねと謝りました。『仕方ないよ』、『気にしないで』と返事はしてくれるけど、スマホを眺めたまま。彼は不機嫌なときにそういう態度を取ることがあり、悲しいやら申し訳ないやらで涙が止まらなくなりました」
でも、彼氏は別に怒っていたわけではありませんでした。泣き出したさなえさんを落ち着かせると、「ホテル、なんとかなりそうだよ」と言い出したのです。
「友達に宿のことをLINEで相談して、『あきらめるのはまだ早い! 函館ならラブホはあるし、24時間営業のネットカフェだってあるはず』とのメッセージの画面を見せてくれました。普通のホテルや旅館しか探していなかったので、これは盲点でした」
すぐに彼が地元のラブホを調べ、電話で問い合わせ。すると、空室があるとのことだったのですぐにタクシーで向かいます。
「結果的には予約ミスをしたホテルよりも部屋もお風呂も広く、快適に過ごすことができました。まさか旅行先でラブホに泊まるハメになるとは思いませんでしたが、これはアリだなと正直思いました。
ただ、何もせずに寝るためだけにラブホを利用したのは後にも先にもこのときだけでした(笑)」
貴重なアドバイスをしてくれた彼氏の友人には、お礼として函館の朝市で購入した、いくらの瓶詰めをプレゼント。旅先でのラブホ宿泊は、この友人が学生時代に恋人との旅行で実践していた方法でもあったそうです。
「言われてみると、ベッドもフカフカで寝心地はいいですし、お風呂の湯舟も彼と一緒に入れるほど広いですしね。一時はどうなることかと思いましたが、おかげでこの旅は私と彼にとっても忘れられない思い出となりました」
外国人観光客にもラブホは人気で、宿代わりに使っているケースも多いそうです。本来の目的とは違うのかもしれませんが料金もお手頃ですし、旅行用に使うのも案外いいかもしれませんね。
―年末年始のトンデモエピソード―
<文/トシタカマサ イラスト/ただりえこ>
ふだんなら当日での変更が可能でも繁忙期の場合、混んでいて手配ができないケースがあるからです。