こんまり、アメリカで社会現象に。全米が片付けにときめくかと思いきや批判も…
片付けコンサルタントの“こんまり”こと近藤麻理恵さんのリアリティ番組がNetflixでシリーズ化され、今年1月1日から『KONMARI ~人生がときめく片付けの魔法~』として配信がスタート。影響を受ける人たちが続出し、アメリカでちょっとした社会現象になっています。
KonMariは片付けを表す英語に?人気女優もラブコール
あれから4年。お正月のNetflixシリーズ配信直後から、「ときめくかどうか」で片付ける“こんまりメソッド”人気が再燃。今や「KonMari」は英語圏(特に大手メディアやSNS)では「片付け」を表す動詞として使われており、大勢のたちが「私もKonMariしてみた!」という報告動画や画像をSNSに投稿しています。 ファンにはセレブも多く、これまでにマーサ・スチュワートやグウィネス・パルトローが自身のサイトでその片付け法を紹介。 直近では、女優のジェニファー・ガーナーが片付け動画をインスタグラムに投稿。「#Can you come over?(うちにも来てくれない?)」とハッシュタグを付け、こんまりさんに助けを求めたことで話題となりました。
では、なぜアメリカで“こんまりメソッド”がここまで受けているのでしょう?
片付けは人生を変えるチャンス! セラピー効果のある片付け術
片付けを単純作業ではなく「人生を変える(Life-Changing)魔法」と位置付けることで、セラピー的な意味を持つまったく新しい片付け本として認知されたのです。 また筆者が思うに、「ときめき」の英語訳「Spark-joy(スパークジョイ)」がキャッチーで思わず言ってみたくなるフレーズなこと、「捨てる前に物に感謝する」という行為がアメリカ人には新鮮だったこともブームを作り上げた大きな要因だったのではないかと。 「靴下にキスでお別れを」タイトルで掲載された4年前の『ニューヨークタイムズ The New York Times』のコラムでは、記者が靴下にまで魂を与えた“こんまりメソッド”を面白がりながらも真面目に実践。「スパークジョイするかどうか」で物を仕分けし、「サンキュー」と言って物を処分するプロセスを楽しんでいる様子が伝わってきました。
愛書家たちの不満噴出でもこんまり効果でニューヨーク市の寄付激増
けれども、Netflixシリーズをめぐっては非難する声も噴出しています。問題となったのは、本を処分するシーンを扱った第5話。本好きや小説家、書評家から「本を捨てるとは何ごとか?」と非難が集中しました。 ただこれには擁護派も多く、「個人の自由。本にときめきを感じる人はそのままキープすればいい」という声も。 筆者も問題のエピソードを観てみましたが、こんまりさんが 「本を捨てること」を強要する場面は一度もなく、逆に依頼者の本に対する思い出を静かに聞いてあげる姿が印象的でした。 賛否ある中、『ニューヨーカー New Yorker』など各メディアが、Netflixシリーズの影響で今年に入ってからニューヨーク市の古着屋やリサイクルショップ、図書館などへの寄付が激増していることを紹介。 2014年に翻訳された「The Life-Changing Magic of Tidying Up」はベストセラーに返り咲き。1月21日現在、米アマゾンのベストセラーランキングで新刊本と並び2位にランクインする快挙を達成します。 Sources:「The New York Times」「New Yorker」 <文/アメリカ在住・橘エコ> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
橘エコ
アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。