うまい話には裏がある?“後妻”に待ち受けていた現実
しかし、数年後、偶然会った彼女はひどく老けていた。聞けば、結婚したはいいものの、夫は資産管理を子どもたちに任せており、
彼女は自由に使えるお金がまったくないのだという。
写真はイメージです。
「働きに出ると言ったら、夫も子どもたちも大反対するし。今では
私は単なる家政婦」と言いながら、彼女は肩を落として去っていった。
さらに
その後、夫が亡くなったと風の便りに聞いた。ようやく遺産が転がり込んだかと思いきや、なんと
婚姻届は出されていなかったのだという。彼女はもちろんサインしたし、夫もしたのを見ているのだが役所に提出していなかったのだ。彼女は夫が提出すると言った言葉を信じていたという。
彼女は
弁護士をつけて闘争を挑んだが、結局は100万だか200万だかもらって和解するしかなかったそうだ。せめて婚姻届さえきちんと提出していれば……。
もともと男を騙そうとしたわけではない。資産家の後妻という立場に惹かれただけで、彼女に悪意はなかった。むしろ悪意があったのは資産家とその家族だったのかもしれない。オトナの世界は魑魅魍魎(ちみもうりょう)だ、とまだ若かった私は打ち震えたのだった。
<文/亀山早苗>
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