それから10年ほど経ちますが、今私は事実婚の状態でパートナーと暮らしています。彼には前妻との間に子どもがいて、誰からも
“子ども”に対するプレッシャーをかけられることがありません。精神的にとても楽な環境で、これこそが
私の理想の結婚生活だと思っています。

それでも35歳という自然妊娠のボーダーラインと言われる年齢になったときは、「
本当にこれでいいのか?」と悩んだ時期はありました。でも、“妊娠”という神聖な現象は治療をしたからといって必ずしも成功するものでもないし、体と心を痛めながらいつ出口が見えるのかわからない暗いトンネルをずっと歩き続けなければなりません。
そんな時間を、脂ののった30代という貴重なタイミングに費やして本当にいいのだろうか? しかもまた大事なパートナーとの時間をケンカに使ってしまったら……。
数か月悩みましたが、結局私は“
できるかわからない子ども”よりも“
自分の心を守る”ことを選びました。病気があっても妊娠する人はするし、できない人はできない、と気づいたとき「
子どもとは“縁”が必要なのだ」と思ったのです。そこで、気持ちが一気に軽くなりました。
不妊治療で押し潰される前に「自分の心を第一」に考えて

子どもは「ほしい」とか「ほしくない」とか自分の気持ちで考えるのではなく、子どもの方から親として「
選んでもらう」のだと思います。だから、もしいつか私を「親」として選んでくれる子どもがいるなら、そのときは受け入れよう。今はそう考えています。
もしあなたが子どもができずに悶々と悩んでいるなら、すさみきる前にまずは
自分の心を第一に考えてほしいと思います。縁があれば、いつか子どもは来てくれるはず。それまでは子どもに“素敵なお母さん”と思ってもらえるような、人生を楽しむための活動にも時間を使ってみる。もしかしたら、新しい人生の入り口が待っているかもしれません。
―シリーズ「
結婚・出産を“しない”と決めている人たち」―
<文/関由佳>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】関由佳
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。
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