そう言うのはレイカさん(36歳)だ。相手に別の女性ができたなら、
別れを言われる前に言ったほうが「勝ち」だと考えるのだそう。
「あなたの浮気を私はわかっていたけど、私の浮気は見抜けなかったでしょと言外に伝えたい。私から去ろうとする人に、少しでもダメージを与えたいという気持ちもありますね。見栄かもしれないけど、
最後くらい見栄を張らないと落ち込むだけだから」
過去、もっとひどいことも言ったことがあるとレイカさんは苦笑した。
「2年同棲していた彼がいたんです。どうやら他に好きな人ができたようだと思ったとき、別れようと言いました。彼、その好きな人の部屋に転がり込むつもりだったらしく、引っ越し準備をしていたんです。そのときなにげなく、『
私、あなたとは一度も感じたことがないんだよね、悪いけど』とつぶやいた。彼、ものすごくショックだったようです」
もちろん、それは嘘なんだけどと彼女は複雑な表情を浮かべる。今となってはなぜそんなことを言ったのか不思議でもあるそうだ。そのときはただ、相手に致命傷を与えてやりたかった。
自分から別れを言い、なおかつ相手に致命傷を与える。それはある意味で自分の心を必要以上に落ち込ませないための自衛策なのかもしれない。
<文/亀山早苗>
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