15年つづく熟年W不倫「夫はパートナーだけど、彼は…」
「既婚者同士の恋愛は意外に長く続いてしまうことが多い。一緒に暮らしているわけではないから新鮮さが保てるのがその一因だが、長くなりすぎるとどうなるのだろうか」と不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さん。
キヨノさん(48歳)が、タケトさんとつきあっていたのは20代前半からの4年間。結婚するつもりでお互いの親にも紹介していた。
「部署もフロアも違うけど同じ会社だったので、周りも私たちが結婚するんだと思っていた。ところがある日突然、彼の様子がおかしくなったんです」
なかなか連絡がとれないし、社内で彼を探しても見当たらない。毎日のように連絡を取り合っていたのに何が起こったのかわからなかった。
「1週間くらいしてからやっと彼が私のひとり暮らしのアパートにやってきて。いきなり土下座して、結婚はなかったことにしてほしい、別れてほしい、と。何があったのと聞いても何も言わない。私は納得できないと言ったんですが、申し訳ないって。彼の目が真っ赤でした」
理由を言われなければわからない、だが彼は言わない。押し問答を繰り返した末、彼は逃げるように去っていった。
「翌日、会社に行ったら、彼が会社を辞めたって。同じ部署のユカリも辞めていた。ユカリは私と同期なんです。ものすごくイヤな予感がしました」
彼女の予感は当たった。ユカリさんがタケトさんの子をみごもり、ふたりは会社から去って行ったのだ。
「絶望ってああいうことを言うんでしょうね。私も社内の好奇の目に耐えられず、転職しました。本当は働けるような精神状態ではなかったけど、このままダメになりたくなかった。だから転職先では死にものぐるいで働きました」
仕事関係で知り合った20歳年上のバツイチ男性と電撃結婚をしたのは27歳のとき。すぐに子宝にも恵まれた。
年上の夫は優しかった。どこか物足りなさを感じながらも、これが幸せなんだとキヨノさんは自分に言い聞かせた。共働きをしながらひとり娘を大事に育てた。
「子どもが5歳になったころだったかな、休みがとれたので2時間ほどかかる実家に子連れで遊びに行ったんです。新幹線に乗ったら、ポンポンと肩を叩かれた。見るとタケトが立っていたんです。最初は声も出ませんでした」
キヨノさんは、彼に去られてつらかったとき、もしいつか再会したら自分はどうするだろうと想像したことがある。殴りつけるか無視するか。いずれにしても言葉を交わすことはないだろうと思っていた。ところが実際に彼女の口から出たのは「元気だった?」というひと言。
「ごめん、キヨノにはどう言って謝ったらいいかわからない。彼はそう言いながら涙ぐんでいました。娘を見て、『結婚したって聞いたよ。幸せなんだね』って。うなづくしかありませんでした。あなたはどうなのと聞いたら、彼は首を横に振っていた」
自由席があいているからと3人は自由席へ移動した。最初ははしゃいでいた娘はいつしかすやすや眠っている。それを見て、タケトさんが「言い訳になるけど」と当時のことを話し始めた。
W不倫を長く続けた結果、男女関係はどうなるのか、亀山さんがレポートします(以下、亀山さんの寄稿)。
すれ違いで別れ、再会して
彼が理由を言わなかったワケは…
ばったり再会して
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