「彼が言うには
、私が浮気をしているとユカリが彼に告げたんだそうです。妙に詳細だったので彼はショックを受けてしまった。そのとき酔った彼をユカリは自分の家に連れていって関係を持った。それで妊娠したんだそうです。ただ、ふたりが会社を辞めたあと、彼女は流産した。時期から考えて自分の子ではなかったのではないかと彼は疑った。

でももう婚姻届は出していたし、ふたりの生活は一時期、ユカリの親が全面的にめんどうをみてくれていたので別れることもできなかった。そのうち子どもができて……という経緯だったそうです。私としては信じていいやら悪いやらという感じでしたが」
その後、ふたりは改めて会った
。会えばあのころの気持ちが戻ってくる。もっと怒らなければいけない、もう会ってはいけないと思いながらも彼への気持ちは止められなかった。
「バカですよね、私も。結局、また彼と関係をもってしまった。ひどいことをされたのに、やさしい夫がいるのに。それでも彼のことが好きだったんでしょうね」
それから15年、ふたりは今も密かに会っている。通算するとつきあいは20年近くに及ぶ。
「ユカリは全然気づいていないようです。彼が言うには、僕には関心がないみたいだと。人から奪っておいてひどいですよね。彼に会い続けているのは、ユカリへの対抗心もあるのかもしれない。でもやはりそれだけでは続かないとも思うし」
彼と再会したとき幼かった娘も20歳になった。娘を見ると、時間の流れをしみじみ感じると彼女は言う。
「彼ともすっかり馴れ合いですし、もう腐れ縁みたいなものかもしれないと思うこともある。だけどやはりこの15年、彼がいてくれてよかった。私が一生かけて恋する人は彼なんだろうなと思います。夫は生活していく上でのパートナーですが」
別れられない関係というものがあるかどうかはわからない。だが不倫関係が長い人たちに話を聞くと、やはり「別れたくない何か」はあったのだろうと思わざるを得ない。
<文/亀山早苗>
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