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『わたし、定時で』高評価でも視聴率イマイチ… お仕事ドラマの難しさ

 TBS系で火曜10時から放映されている『わたし、定時で帰ります』(以下『わた定』)。初回は9.5%と、この枠の平均的な数字でしたが、GW真っ只中の第三回は6.5%と下がり、前回第4話は8.4%と上昇したものの、依然として厳しい状況に置かれています。  その一方で、多くのニュース媒体で現代社会における労働問題とこのドラマを絡めた記事が配信され、放映後にはSNSで登場人物の名前がトレンドに上がるなど、その反響は視聴率以上のものです。今期No.1の話題のドラマと言っても過言ではないでしょう。
『わたし、定時で帰ります。』TBS公式サイトより

『わたし、定時で帰ります。』TBS公式サイトより

『けもなれ』を思い出す「リアルすぎて疲れる」の声

 有給は消化し、定時で帰ることがモットーの吉高由里子演じるヒロイン・東山結衣が、様々な問題を抱える社員たちに翻弄されながらも、働くとは何かを描いたこのドラマ。  働き方改革が叫ばれ、様々なものごとに関する多様性を認めようとする風潮のある昨今、時代にマッチしたテーマやエピソードのリアリティは、多くの視聴者の心を掴んでいます。  そんな好意的な反響の一方で、放映後のSNSの感想において、しばし目についたのが次のようなものでした。 「定時で帰りたいけど、現実それができないからイライラ」 「氷河期世代で、私は三谷さん派(※シシド・カフカ演じる、真面目過ぎる努力家で、融通が利かないタイプの同僚)の意見だけど、責められているのが辛い」 「(復帰直後のワ―ママの話は)産休復帰直後の自分をみてるようで泣けてくる」
 共感の声がある反面、共感するからこそ現実と切り離すことができず、「息抜きができない」というつぶやきが見受けられました。人間模様や仕事環境が鋭く、リアルに描かれているからこそ、出てくる感想でしょう。  昨年の秋クールで放映された新垣結衣主演・日本テレビ系『獣になれない私たち』の際にもあった「社長役の人の恫喝に前職のパワハラ上司を思い出してしまった」「ガッキーの役回りは、まさに私。みんな何もやってくれない」……などと、「暗くなる」「見ていて辛くなる」という声を思い出されます。こちらも作品として高く評価されていた割には多くの支持が集められなかった印象があります。
 このことは、GW期間中に視聴率が下がったのは在宅率が低かったから、という物理的な要因の一方で「夢見心地の連休の中、仕事を思い出し現実に引き戻されてしまうドラマは見たくない」という視聴者の意思のあらわれかもしれません。
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従来のお仕事ドラマとの違いは?
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