働かない夫から逃げて、不倫したらクズ男沼にハマった…
暴力を受けても離れられなかった
もちろんいつも暴力的なわけではない。ときには涙ながらに「オレ自身、親から首を絞められたことがある」「小学校に入る前に親に捨てられて親戚に育てられたんだ」と言ったこともある。だが、彼の言うことが本当なのかどうか、彼女には確かめる術がない。
働かなかった夫がようやく動き出したのが1年ほど前。さすがにこのままではいけないと思ったのか、かつての知り合いを頼って仕事を始めた。まだ経済的には安定していないが、精神的にはかなり回復しているようだという。
「夫が早く帰ってきてほしいと言っていたのですが、私は私で彼との生活が捨てられずにいました。その後、私に男がいるとわかったみたいで、帰ってこいと言わなくなった。私もなんだか夫といるのが気詰まりで……」
そして頼みの綱のオサムさんだが、実は離婚していないのではないかとチサトさんは考えている。ナイショで彼の携帯を見てしまったのだ。妻らしき女性との濃密なやりとりを目にして、「私は誰からも必要とされていない」と感じている。それでいて、オサムさんは彼女を束縛する。束縛と暴力は愛ではないと頭ではわかっているが、彼と離れたら生きていけないような気もしている。
八方塞がりなのに、勇気がなくて抜け出せない
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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