女性がずっと独身でも「老後に貯金2000万円」も必要ですか?FPに聞く
<お金の人生相談/ファイナンシャルプランナー・花輪陽子>
●結婚はもういいかなと思っています。一人で生きていくには、どれだけのお金が必要ですか?(38歳女性・会社員)
「30代前半の時は、結婚をしたい気持ちもありましたが、後半になって同じように独身の友人もいて、仕事も充実しており、結婚する必要性を感じなくなってきました。これから一人で生きていこうと思った時、どれだけのお金が必要になってくるのでしょうか?」
年金以外で「夫婦で老後に2,000万円が不足する」と金融庁が報告するなど、老後も含めて将来への不安感が広がっていますよね。自分のことは自分で備えることが求められる社会への是非はさておき……生涯独身を貫いた場合、具体的にどれだけのお金がかかるものなのか、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子さんに伺いました(以下、花輪さんによる寄稿)。
お一人様の老後資金はいくら必要なのでしょうか。家計調査によると、高齢単身無職世帯の毎月の支出は、平均で15万5000円程度です(あくまで全体平均なので、持ち家がない人はもう少しかかるでしょう)。
一方、入ってくる年金のほうは、50歳以降になると、65歳以降の年金額を「ねんきんダイヤル」で確認できます。50歳未満の人はねんきんネットからシミュレーションができます。
仮に、もらえる年金が11万5000円程度※だとすると、平均的な支出額で資産をしても毎月4万円不足します。年間で48万円の赤字ということですね。
もし100歳まで生きたとして、65歳から100歳までの35年間で1680万円の貯蓄が必要になります。これに加えて予備費なども必要なので、独身女性でも2000万円程度老後にお金が不足するという計算になります。
※厚生労働省「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、男性の平均支給額は165,668円、女性の平均額は103,026円。
また、ライフプランによっても必要な金額は変わります。もし、老後は有料老人ホームに入りたいとなれば、首都圏の有料老人ホームの金額は施設によってまちまちですが、一時金に1000万円前後、月々25万円前後かかる場合が一般的です。
厚労省・総務省の統計によると、介護が必要になる人の割合は70~74歳で5.9%、75~79歳で13.5%、80~84歳で28.4%、85歳以上で58.4%と加齢とともに急速に高まります。長寿化に伴い、健康年齢と寿命がずれるのも大きな問題となっています。
2000万円ものお金をどうやって貯めるのかと思うかもしれません。ですが、運用をすればお金を有利に増やしていくことも可能です。例えば、今から20年間毎年60万円を積み立てた場合、3%複利で運用すれば1661万円になり、5%複利だと2083万円になります。千里の道も一歩からなので少しずつ無理のない範囲で老後資金の準備をしていきたいですね。
<文/花輪陽子>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
相談:一人で生きていくには、どれだけのお金が必要ですか?
回答:運用も視野に入れてコツコツと準備を

老人ホームに入りたいなら

花輪陽子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFP(R)認定者。1978年生まれ、外資系投資銀行をへてFPとして独立。現在シンガポール在住。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』 (講談社+α新書)など著書多数。公式サイト