病気になりがちな職場の特徴3つ。メンタル不調は対人関係に要注意
「病気になる家の特徴」を探ってきた本シリーズ。家だけではなく、病気になる可能性のある場所はたくさんある。とくに、毎日長時間いなければならない職場も要注意だ。働いていると避けられないストレスからくる心の病や体の不調。気をつけるべきポイントとは?
“知人以上、友人未満”と人間関係が希薄な職場では、対人ストレスによる“心の病”に襲われやすい。産業医の武神健之氏は注意を促す。
「冷静沈着な理論派上司は、ミスを犯すと反論できないように理詰めで追い詰めてきます。そうすると心の逃げ場を失った社員は、鬱病、パニック障害といったメンタル不調に陥る恐れがある。なかでも、特定の人物を生贄にして吊るし上げるタイプが野放しだと最悪。他の社員も萎縮するだけでなく、繰り返される生贄に『何をやっても無駄(学習性無力感)』という諦めムードが蔓延します」
結果、職場は墓場のような雰囲気に。また、気分屋上司とゆとり部下に板挟みにされる中間管理職は、彼らに振り回されてモチベーションが低下しやすい。
「仕事へのやりがいを失うことで、最悪、働けなくなるまで精神が追い込まれます。嫌いな上司、同僚、部下の顔が視界に入るのを防ぐため、ぬいぐるみや鞄で空間を遮るなど、涙ぐましい努力をしている声も聞きます」
一見快適な職場にも……。
「待ち時間、激混み、各階停車とイライラ三銃士のエレベーターは、ストレスの宝庫。それも駅直結や商業施設と一体化しているビルの場合、四六時中混むことに。小さなストレスですが『塵も積もれば……』と言うように、何かのきっかけで爆発することもあります」
さらに福利厚生のウオーターサーバーが仇になることも。
「梅雨の時期は注ぎ口や受け皿に水垢やカビが発生しやすく、受け皿に溜まった水から異臭がすることも。食中毒の感染率は低いですが、絶対安心とは言えません」
職場は心身を蝕む病の温床だ。
★危険な行動パターン
・視界に入る位置に嫌な同僚の席
・オフィスが商業施設との一体化ビル
・ウオーターサーバーで菌を補給する
【武神健之氏】
産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。相談件数1万件超。著書に『職場のストレスが消えるコミュニケーションの教科書』(きずな出版)など
―病気になる家の特徴―