優香さんは、最近一人暮らしから実家に戻ったそうです。その理由が、前に暮らしていたマンションでの怖い経験だと言います。
「就職後、私はマンションでずっと一人暮らしをしていたんです。住みやすくて、何も不満なく暮らしていました。でも、今年のある日の深夜、廊下から、カツーン、カツーンと、女性のヒールの音が聞こえてきたんです」
普段は外の音は気にならなかったそうですが、その日はなぜかその音が耳についた優香さん。
「そのヒールの音は、私の部屋に近づいてきて、私の部屋の前ぐらいでぴたりと止まりました。えっ? 怖いな、と思っていたら、
鍵がガチャッと開く音がして…。タイミング悪く、その日はチェーンをかけていなかったんです。ますます怖くなって、一歩も動けなくなりました。警察に通報しよう、とも思ったのですが、相手を刺激しないほうがいいのかなとか、いろいろと考えてしまって」
優香さんは怯えながら朝を迎えて、
玄関をそっと確認すると、鍵は実際にあいていたそうです。
「それでも、恐怖のあまり現実を認めたくなかったので、自分が鍵をかけ忘れたのかも、と思い込んでしまったんです。ただ、さすがに次の日は1人で寝る気にはならず、女友達を家に呼んで、鍵もチェーンもしっかりとかけてから寝ました。そうしたらまた深夜にヒールの音が聞こえて、そのあと、鍵の開く音も…。女友達は熟睡していたし、警察に通報する勇気も結局出ませんでした」
朝玄関を確認すると、鍵はあいていたものの、チェーンはかかったままだったそうです。
「
無理やりこじ開けられた音はしなかったし、おそらく合鍵を作られているんだろうなと思いました。女性のヒールの音がしたから、女性だと思っていましたが、ヒールを履いた男性だったのかもしれないですよね。なんにせよ、目的がわからないのがすごく怖かったです。もしかしたら、
私が気が付かなかっただけで、しょっちゅう家に入られていたのではないか、ずっと監視されていたのではないか…。考え出したらきりがなくなって、とてもそのまま住み続けることはできなくなりました」
ちょうどマンションの更新通知が届いていたこともあり、優香さんは契約解除の手続きをして、実家に戻ることに。警察にも相談しましたが、犯人はわからないままだそうです。「また一人暮らしをしたいですが、なかなか勇気が出ないですね…」と優香さん。本当に怖いのは、幽霊よりも、人間であることは間違いなさそうです。
―シリーズ「
怪談・ゾッとする話/不思議な話」―
<文/女子SPA!編集部>
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