スーツで大学卒業式に出ていじられた女性「袴を用意するお金がなかったの?」
冠婚葬祭や式典での服装は悩むものです。たとえば大学の卒業式の女性の定番スタイルといえば、袴(はかま)。一生に一度の瞬間を楽しみたいという女性も、少なくないのではないでしょうか。
今回は、大学の卒業式にスーツで参加したという女性の話を聞いてみました。本来服装は自由なはずなのに、苦い思い出になってしまったそうで…。
男女共学の大学に通っていたという、工藤亜沙子さん(仮名・34歳)。専攻分野は大好きで、今でも仕事に活かしていると言います。しかし、大学生活自体は少し苦手で、あまり馴染めないまま、学問に専念したそうです。
卒業シーズンがやってきて、周囲の楽しそうな話題が耳に入ってきてもーー。
「卒業旅行の予定を楽しそうに話しているのを見かけると、胸が痛むというか…。みんながワイワイしている卒業式を想像してしまい、そこにひとりぼっちで出席するのに気が引けたんです。
両親やゼミの教授に相談し、結局卒業式には出ないことにしました」
楽しいイベントも、ひとりぼっちだと考えると少しつらいかもしれません。式典だからと割り切れなかった亜沙子さんは、卒業式に出ない選択をしました。
しかし、卒業式1週間前になって心が動いたと言います。
「入学当初に仲良くしてくれていたTさんが、声をかけてくれたんです。気にかけてくれていたのだと、嬉しくなったんです。
どうやら卒業式後に学部全体でパーティーがあるらしく、それに誘ってくれたんです。卒業式に出ないことを伝えると、『一生に一度の卒業式だよ!もったいないよ。みんな優しいから大丈夫。寂しかったら、私と一緒にいたら良いよ』って。
なんだか温かい気持ちになりました。パーティーにまで誘ってくれて、一緒にいれば大丈夫と。心強くなったんですね。卒業式に出ないこと自体にも、実は後ろめたさのようなものを感じていたのかもしれません。Tさんの温かい言葉に背中を押され、出席しようと決めました」
困ったのは服装でした。袴で行く女性が多いだろうと思ったけれど、レンタルや着付けは予約でいっぱい。
「やはり1週間前ですから。袴を用意するのは難しかったです。だけど、卒業式は袴でないといけないなんて決まりはないと思ったんですね。スーツも正装ですし、出席する分には支障がないと。
浮いてしまうかなとも思いましたが、1週間前に決めた自分が悪いのだと覚悟しました。袴を用意するとなるとお金もかかりますし、スーツで行く女性もいるかもしれないと思った面もあります。
Tさんが誘ってくれたパーティーにはドレスコードがありました。女性はエレガントなドレススタイル、とのことです。パーティーを華やかに過ごせれば、袴を着られなくても自分では納得できると思ったんです」
大学生活になじめず卒業式は欠席予定だった
温かい言葉に背中を押されて…
服装に迷った末スーツ姿を選択
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