――西島さんにとって、映画館とは、どんな存在ですか?
「僕は全く仕事のない時期もありました。本当にやることがなくて、毎日映画館に通っていました。
色んな映画館に出かけていくことで、辛さを感じずに済んだし、充実できた。それって本を読むことだったり、アニメを観ることだったりと、人それぞれにあると思いますが、僕にとっては映画館に行くことだったんです。
知らない人たちと笑ったり泣いたりするという体験が大きかった。もしも映画館がなかったら、辛くて耐えられなかったんじゃないかな。映画館での体験があったから、仕事がなくて本当にきつくて辛い日々が、今思い返して、豊かな大事な時期になっています」
――今では、西島さんの作品を映画館で観て、救われる人もいると思います。
西島「そうだったらいいなと思ってやっています。
自分は映画に救われてきたし、すごい映画には人生を変えられてきました。僕もそうした作品に参加したいと思うし、毎回、そういう作品になってくれと願いながら臨んでいます」
――最後に、『任侠学園』公開に向けてひと言お願いします。
『任侠学園』より
西島「どこかもやもやした世の中に、どこかの時代からタイムスリップしてきたかのような昔気質の男たちが、『おかしいのは、こういうところなんじゃないの?』ときちんと見せて解決してくれる作品です。
それに、コメディなんですけど、世代や生きる世界の違う人間たちが、心を通わせて世界を変えていくという、非常に感動的な映画に仕上がっています。試写を観て何度か泣きそうになりました。『あれ、俺、変なのかな。コメディのはずなのに』って。
描かれているものがキレイごとにはならないようにと、みんなで全力でやりました。毎日“反省会”をした結果か分かりませんが、本当に心が繋がっていく様子をこの映画は描いています。意外にというか、青春感動編になっています。ぜひ映画館で観て、すっきりしていただけたらと思います」
(C) 今野 敏/ (C) 2019 映画「任侠学園」製作委員会
<文・写真/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi