古美術アイドル? 和田彩花(スマイレージ)が見つめる美の世界~仏像~

ニンテンドー3DS『ヒーローバンク』でシナリオを担当した人気ゲームプロデューサーの結城昌弘氏。アイドル、ひいてはスマイレージが好きすぎるという理由で、日刊SPA!にて寄稿したばかりの同氏が、今度は女子SPA!にて“古美術アイドル”和田彩花論を展開する。 乙女の絵画案内 「かわいい」を見つけると名画がもっとわかる 前編では、スマイレージの和田彩花による絵画への視座を、彼女の著書『乙女の絵画案内 「かわいい」を見つけると名画がもっとわかる』(PHP新書)を縦糸に書いていきましたが、後編は、もう一つ、彼女が愛してやまない「仏像」との繋がりについてつらつらと。 ⇒前編『乙女の絵画案内』に寄せて
http://joshi-spa.jp/95811
※7月15日には武道館単独公演も決定しているスマイレージの最新シングル『ミステリーナイト!』『エイティーン エモーション』のPVはYouTubeで視聴できます。 ⇒【YouTube】スマイレージ 『ミステリーナイト!』
http://www.youtube.com/watch?v=gh6-f1EV_14
⇒【YouTube】スマイレージ『エイティーン エモーション』 http://www.youtube.com/watch?v=fAPI8PW2q-A  ちょっと前になりますが、仏像を愛好する女子=「仏女」が話題になりました。  こちら、女子SPA!でも記事がアップされてましたが、仏像の魅力に引き込まれるきっかけは人それぞれだと思います。2013年12月1日の朝日新聞に掲載された「思い出す本 忘れない本」という記事のインタビューで、彼女は高校3年生時に先生から渡された一冊の本が契機だったと語っています。その本は『古寺巡礼』。著者は日本の哲学者、倫理学者、日本文化史家として知られる和辻哲郎で、大正8年(1919年)に出版された名著です。  この本で「仏像や建物がまるで生きているかのように書いてあって」(先述記事より引用)彼女は興味を持つようになり、仏像の写真を購入したり、仕事やプライベートの合間を縫って京都、奈良などの名刹、古刹を巡っては様々な仏像を拝観し、御朱印も集めているといいます。  ちなみに、この『古寺巡礼』、和辻としては若い頃に書いた本なので、月日が経って読むと直したい箇所が多々あると改版の序文で書いています。しかし結局、版を重ねても手直しはされませんでした。それは、『古寺巡礼』がその当時の年齢、情熱が詰め込まれた一冊であり、それ故の自由な発想や鮮烈なエモーションが詰め込まれているため、そのままとしたそうです。  時として、こういう鮮度ある視点だからこそ見つけられることもあり、そのことは『乙女の絵画案内』にも通じるのではないかと思ったりします。いわゆる“若書き”というやつですが、そこに凝縮された初期衝動の有無を言わさないパワーというのは、ジャンルを問わず強烈なものです。  仏像に対して和田は、気持ちの安らぎが得られるところが好きと言っており、「かっこよさ、力強さ、見ていると勇気をもらえるとことも好き」(先述記事より引用)とのこと。時には“かわいい”とも表現しています。  こういう部分だけ切り取ると、ちょっとミーハーな印象もありますが、彼女はもっとその奥にあることまで考えています。そのことは『乙女の絵画案内』の「麻布著色吉祥天像」の回で知ることができます。彼女の思慮深さが垣間見える一文で、ズーンと感銘を受けました。そのまま引用させていただきますと……。 ===============  ひとつだけさびしく思うのは、お寺で仏像や絵がガラスケースに入って展示されている場所が多いこと。もちろん国宝や天然記念物の安全を考えれば、それがいちばんだとは理解できるのですが、本来の仏像や仏画の役割を考えると、やっぱりふさわしい場所で対面したいなと思うのです。  ガラスケースのなかだと、どうしても作品として観てしまいがち。でも仏像や仏画は、ほんとうはもっと観ている人と距離が近いところにあって、だからこそ癒されたり、いろいろなことを考えたりできるものなのではないでしょうか。  人の信仰のためにつくられ、描かれたということを忘れてはいけないと思います。  芸術は何のために生まれたのか。誰がどんな想いで描いたのか。そうした背景にも想いをめぐらせることで、また新たな世界が見えるはずです。 「乙女の絵画案内」第5回/薬師寺『麻布著色吉祥天像』より http://shuchi.php.co.jp/article/1695? ===============  単に外見だけに引かれているのではなく、その本来の役割、存在意義まで彼女の視野には入っています。本当に好きだからこそ、尊崇しているからこそ、そういった所まで考えを巡らせることができるのではないかと思います。 『乙女の絵画案内』プロデューサーの櫻井孝昌のツイートによると、同書が3刷まで伸びれば『乙女の仏像案内』が作れるかもしれないというPHP新書の担当者の言があったとか。是非実現してもらいたいものです! 個人的には、彼女が『古寺巡礼』と並べて『見仏記』もフェイバリットに挙げているので、いとうせいこう×みうらじゅん×和田彩花という鼎談なんてどうですか、編集部様?(文中敬称略) <TEXT/結城昌弘> ゲーム開発会社・株式会社プラネットG所属のプロデューサー/シナリオライターでありDD。近作はニンテンドー3DS「ヒーローバンク」でシナリオを担当。アニメも月曜18:30からテレビ東京系6局ネットで放送中!
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乙女の絵画案内 「かわいい」を見つけると名画がもっとわかる

人気アイドルグループ「スマイレージ」のリーダーが、ひそかに話題となっている独特な絵画の見方について、本書ではじめて本格的に語ります。

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