『まだ結婚できない男』阿部寛の皮肉が、前作より女性にやさしいわけ
視聴率20%を超えたあの人気ドラマが帰ってくる!――そんな多くの期待を集めて放映開始された『まだ結婚できない男』(フジテレビ系、火曜夜9時~)。
空気が読めない独善的な独身貴族の建築家の主人公・桑野を阿部寛(55歳)が引き続き演じ、以前と変わらないキャラクターとコミカルなストーリーは、続編を待ち望んでいたファンたちを大いに喜ばせました。
ですが、13年前に放送された前作とはどこか異なった印象を受けるのです。
前作『結婚できない男』はその内容の面白さもさることながら、桑野の女性たちに対する切れ味鋭い皮肉や偏屈な言動の虜になる視聴者が多く、動画配信サイトや再放送の放映でもその都度ファンが増えるほどの大ヒット作になりました。
「若い子はね、素直で可愛くていいんですよ! 人の言うことにいちいちチャチャ入れたりしないしね」
「自分だってもういい年なんだし、断られたってしょうがないでしょう。」
「ヒステリーか…?」
「客も我慢してんだろ。もっと若くてさ、女子大生みたいなのがいいのにさ」
前作のヒロイン・夏美先生(夏川結衣)やみちる(国仲涼子)などとの丁々発止のやり取りの中で彼女たちに向けられる、桑野の飾りない男の本音に、爽快さを感じる男性が多かったといいます。女性たちから「だから結婚できないんだよ!」と思わずツッコミたくなるような隙があるのも絶妙でした。
ただ、客観的にみると女性に対して辛辣なセリフばかりです。変人・桑野だから許される部分はありますが、女性蔑視に対して厳しくなった今だったら、物議をかもしたかもしれません。
桑野の皮肉が「令和」の時代に合わせて変化?
なかでも、妻が仕事を続けるか否かで悩むクライアントの夫婦に対し、桑野が放った「ご主人はあなたを必要としているわけだし、あなたに家にいて欲しいんですよ。今の職場でこんなに求めてくれる人がいますか? 必要とされる所にいた方が良いでしょう、居ても居なくても同じような所にいるよりは」 という13年前のセリフは、今見るとなかなかすごい。多様性を尊重しあうことが重要視されている令和の時代に、このセリフをSNSなどで放ったのならば、不快感を持つ人は多かったでしょう。 そんなご時世が影響されているのか、桑野の言動がアップデートされているように感じます。
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