「とある媒体に掲載された記事で『独身男性向けに集客を狙う』といった見え方になってしまい、そこからさまざまな意見がでるようになって、弊社からの伝え方を間違ってしまったと気づきました。
私たちがやりたかったのは独身男性向けの販売ではなく『住宅会社が、住宅ではなく、住宅が生み出す暮らしを販売していくというコンセプトの打ち出し』をしていくことでありました。色々なパターンは考えられましたが、その第一弾のチャレンジとしてのモデルハウス体験会であったのです」
今、様々な分野で商品を所有するモノ消費から、商品を購入したことで体験を得られるコト消費へと移り変わってきています。今回の企画は、「家」というスペックを並べたモノを売るのではなく、その「家」を購入することで得られるだろう「体験」を感じてもらいたいという意図がありました。

「今回、シナリオの中に中2階で勉強する娘の宿題を手伝いに行くというシーンがあります。これは、ただ『この建物には中2階がある』という
スペックの案内ではありません。『中2階があることで、子ども部屋として活用もできるし、キッチンで料理をする妻も子どもと夫の様子が見える』という
暮らしを体験してもらいたかったのです」
家のスペック紹介だけでは見えてこない、暮らしを見せたかったという高谷さん。その暮らしのサンプルとした家族像が話題になったことについては、どう考えているのでしょうか?
「当然今回の体験会の設定の家族像が理想と言うつもりはありません。ただ、もしこのような家族像を体験してみたいなという人たちがいたとして、間接的にこれが自分にとっての理想なのか判断する指標になれたのであればそれも一つの価値だと思っています。
結果として『こういう家族像は求めていない』となってももちろんOKです。このモデルファミリー付きモデルハウスがきっかけで、個々人の理想の家族像、暮らし像について考え直すきっかけになれたのであれば有り難いと思っています」
斬新な発想で、いい意味でも悪い意味でもさまざまな反応を呼んだモデルファミリー付きモデルハウス。次はどんな話題の体験企画を実施してくれるのか、密かに期待したいと思います。
<文/ミノシマタカコ>